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高齢者を宅配便で見守る

一人暮らしの高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らせるように

少子化や都会への人口集中が進み、過疎化・高齢化は今後ますます進行するといわれています。そうしたなかで近年、社会問題となっているのが「高齢者の孤独死」です。身寄りがなく、ひっそりと亡くなっていく高齢者を一人でも少なくするために、見守る目の重層化が必要になっています。一方で、本来、高齢者をケアする子ども世代や自治体、民生委員では対応できないケースが増えてきました。

そこでヤマト運輸では、地方自治体と連携し宅急便のネットワークを活用した見守りの取り組みを行っています。対面での見守りを大切にするこの取り組みでは、持続可能な仕組みづくりを試行錯誤しながら、全国各地で展開しています。

1人の社員の体験から見守りの取り組みが誕生

2010年9月、岩手県西和賀町で、最初の見守りの取り組みがスタートしました。

発案者は、県内で働いていたセールスドライバー(SD)です。配達でよく顔を合わせていたお客さまの孤独死がきっかけで、ヤマト運輸のネットワークを活用した見守りの構想を思いついたのです。事業化に向けて試行錯誤するなかで、西和賀町社会福祉協議会(社協)から過疎集落での運用依頼があり、買い物に対するニーズが高いことから、見守りと買い物代行を合わせた「まごころ宅急便」が誕生しました。

本サービスでは、買い物が困難な高齢者が電話で品物を注文し、地元のスーパーマーケットが品物を用意します。その後、ヤマト運輸のSDがその品物を配達し、あわせてお客さまの健康状態やお困りごとをチェックして、社協に連絡します。これにより、「孤独死」と「買い物困難」という、一人暮らし高齢者にまつわる2つの課題解決に貢献できる宅配サービスとなりました。

買い物困難者の支援に重点を置いたサービスも開始

買い物の支援と高齢者の見守りを合わせたもう一つのモデルケースといえるのが、高知県大豊町の事例です。大豊町は、人口の50%以上を高齢者が占める「限界集落」の一つ。広い山間部に小集落が点在しているという地理的条件と、過疎化による店舗の減少により、集落によっては日常の買い物でも長距離を移動しなければならないという課題を抱えていました。特に、車の運転ができない高齢者への負担は大きいものでした。

地元の商店などからの相談を受けて、2012年11月、大豊町の全町民を対象とする「おおとよ宅配サービス」を開始しました。サービスに参加する地元の店舗に電話やFAXで注文すると、店舗で商品を箱詰めにし、ヤマト運輸のSDがお届けする仕組みです。また、高齢者宅への配達時にお客さまの体調が悪い場合は、役場または消防署へ連絡するなど、見守りの役割も担えるようにしました。

各地に広がる「高齢者見守り」の取り組み

現在、ヤマト運輸は、宅急便を活用した見守りや買い物支援の取り組みを各地で展開しています。これらの取り組みを長く続けていくためには、現場のSDや、導入する自治体の負担を少なくすることも不可欠です。

その一例が、青森県黒石市の「高齢者見守り支援サービス」です。これは、市が作成した「一人暮らし高齢者」向けの刊行物を、月に1回、ヤマト運輸が宅急便として配達し、高齢者の在宅状況やヒアリング内容を市に報告するという仕組みです。この仕組みを使うことで、無理なく低コストで、ケアが必要な高齢者を見つけるお手伝いができるようになりました。これと同様の取り組みが、青森県深浦町や富山県氷見市、兵庫県西脇市でも始まっています。

※青森県深浦町での見守りサービスについては、「過去のハイライト記事」の「事例1 生活支援 見守りサポート」も参照ください。

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