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第三者意見

(2017年8月)

慶應義塾大学総合政策学部教授 玉村 雅敏

慶應義塾大学総合政策学部教授

玉村 雅敏

本意見の位置づけと留意事項

この「第三者意見」は、「ヤマトグループCSR報告書2017※」の記載内容および、2017年8月に、筆者の判断のもとで実施した関係者へのインタビュー調査、ならびに、これまでに実施した同社の「プロジェクトG」に関する調査研究を基づいて執筆しています。

「ヤマトグループCSR報告書2017」は2016年度(2016年4月〜2017年3月:活動報告は対象年度以前や以降を含む)を対象にしたもので、「ハイライト版(冊子)」と「フルレポート版(Web)」が発行されており、本意見は両者を対象としています。
また、本意見の執筆にあたり、同社のCSRに関する考え方の変遷やPDCAサイクルの確認を行うために、同社のWebサイトにて公開している、過去の「CSR報告書」等も参照しています(2000-2003年度は「環境報告書」、2004年度は「環境・社会報告書」、2005年度以降は「CSR報告書」)。

本意見は、ヤマトグループからは独立した立場で、「CSR報告書2017」等で示された、同社の「CSRに対する考え方:企業姿勢・重要事項の設定・実施内容・体制など」と「CSR報告書の記載内容:客観性・理解の容易さなど」について、筆者の専門性のもとで検討し、その「優れていること」と「今後に期待すること(改善状況と課題)」についての意見を記載したものです。

1.CSRに対する考え方:企業姿勢・重要事項の設定・実施内容・体制など

<優れていること>

ヤマトグループでは、「ヤマトグループは、グループ企業理念に基づき、CSRをまっとうすることが経営そのもの」という考え方を前提に、CSR報告書2017のトップメッセージのタイトルとしても「世のため人のために、常に新しい価値を生み出し続ける会社であるために」と掲げています。

「グループ企業理念」を支える、同社の根幹となる考え方は、1931(昭和6)年に制定された、創業の精神である「社訓」に示されています。特に、その1つ目において「ヤマトは我なり」と示されているとおり、ヤマトの社員は「自分自身=ヤマト」であり、そういった社員一人ひとりの力を結集した全員経営の精神を重視することを、同社のWebサイトにて解説しています。

社会との接点である個々の社員が「ヤマトは我なり」の姿勢で活動する同社は、一人ひとりの社員がCSRの担い手としての役割を担いうる経営方針を持ち合わせており、強みとなり得るものと思います。

実際に、同社は、個々の社員が、現場や顧客の声から実感・直面した社会課題(困りごと)に対して各種サービスを構築・定着させ、社会インフラを担う企業の「社会的責任」を果たしています。代表的な例としては、約40年前に、いつ届くか分からない・集荷も出来ないという状況に対して構築した小口貨物の宅配システム「宅急便」をはじめ、通販ビジネスの拡大に不可欠であった決済機能を付加した「宅急便コレクト」、鮮度を保持したまま送れる「クール宅急便」、荷物を届ける時間を指定できる「時間帯サービス」など、社会の困りごとに挑むサービスを創出してきています。

このように、2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループは、宅急便をはじめとして、様々なイノベーティブなサービスを生み出してきました。それは、顧客の課題を解決しながら、企業としての経済価値と社会価値を同時に実現する「CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)」を追求してきた結果ともいえます。

そして、そういった同社の姿勢を加速させるものとして、地方自治体や地域団体などと連携して、社会課題の解決に挑戦する「プロジェクトG(Government)」にも注力しており、CSR報告書2017では、2017年6月までに1971件の案件が検討され、そのうち611件がサービスとして提供していることが説明されています。

このプロジェクトGは、ヤマトグループによるCSVとして、自治体や地域団体などのステークホルダーと連携し、それぞれの強みを活かした「協業型」の社会システムを構築していくもので、その案件やサービス数も年々増加しています(2016年6月で案件1770件・サービス提供529件であったものが、2017年6月までに案件1971件・サービス提供611件となり、案件201件・サービス82件の増加)。現場経験や顧客の声を通じて、課題に対する実感をもつヤマト社員が本気度高く活動し、多様な主体と連携する協業型の仕組みを構築していること、ヤマトグループ各社が持つLT(物流技術)・IT(情報技術)・FT(決済技術)の機能をプラットフォームとして提供することで、自治体や地域団体等との協業を生み出していき、その結果、解きほぐしにくかった社会課題の解決へと前進するきっかけを提供していることなど、全国各地で社会インパクトを与えるものとなっています。

プロジェクトGでの実践としては、これまで、地方での取り組みが多く見られましたが、2016年4月から、都市近郊部における事例として、ヤマトグループ・UR都市機構・多摩市による検討・協業を通じて「くらしのサポートサービス」が開始され、また、2015年度には、「国際クール宅急便」などのヤマトグループが海外展開を強化してきた基盤を活かして、青森県等の自治体と連携し、海外の飲食店と日本各地の生産者をつなぐ支援にも取り組み、ヤマトグループならではの新機軸(イノベーション)を創出しています。

さらにCSR報告書2017では、その特集の1つ目として、宮崎県において地域住民・宮崎交通・ヤマト運輸の3者にメリットがある「貨客混載」の協業モデルの解説を行い、その経験をもとに、さらに踏み込んだ挑戦としての2017年1月よりクール宅急便の実践を推進していることを解説しています。また、特集の2つ目として、まちぐるみで先駆的な挑戦を行うスマートシティであるFujisawa サステイナブルスマートタウンにおいて、エコでスマートな物流サービスを構築し、街でのくらしをトータルサポートすることや、物流のオンデマンド化とコミュニティ活動の推進でくらしの快適さを向上することなど、都市部における社会課題である、人口集中によるエネルギー使用量の増大などの課題に挑戦する都市型モデルの実践を解説しています。このように、多様な主体との協業での挑戦や経験を基盤に、ヤマトグループのプラットフォームを活かした、さらなる挑戦が示されています。これまでに行われてきた高齢者の見守りや生活支援(買い物支援等)、貨客混載、災害復興支援、観光支援、地域活性化支援、国際展開支援などに加えて、中山間地域で持続可能な仕組みづくりや地域主体による事業展開の可能性を広げる協業モデル構築、都市近郊部でのくらし支援や先駆的なモデル開発、協業の経験をもとにした展開など、多様な社会課題(困りごと)に対して、より踏み込んだ展開が行われています。

社会との接点となる、社員一人ひとりの力にこだわるヤマトのスタイルに加えて、社会インフラを担う企業として、多様な主体とともに協業で社会課題に挑む「プロジェクトG」を推進することで、CSR報告書2017の表紙などで示している「社会から一番愛され信頼される会社を目指して」を実現することが可能となる体制整備が進んでいると思います。

<今後に期待すること(改善状況と課題)>

■「CSR報告書2016の第三者意見」に関する状況と「今後に期待すること」

CSR報告書2016に対する第三者意見において、「今後に期待すること」として、以下の観点を提示しました。

(1)
毎年「CSRに関する改善テーマ」を確認し、持続的な改善を実践していくこと
(2)
海外展開にあわせたCSRのあり方
(3)
バリューチェーン全体で、「ヤマトは我なり」である社員一人ひとりがどのようにCSR/CSVに関わっていくのか、より明示的に確認出来るようにする仕組みやその情報発信をすること
(4)
プロジェクトGに関して、課題に挑戦する現場でのヤマト社員の試行錯誤を行いやすくすること
(5)
プロジェクトGに関する全国での実践を相互に学習や影響し合うこと
(6)
プロジェクトGに関して、構築したモデルを他の地域に提供すること、その際に、現場での試行錯誤を促進・支援するための体制の整備
(7)
プロジェクトGに関して、(より協業型のスタイルを進化させ)具体的な制度等の課題について、協働での設計・構築を推進する体制の整備
(8)
プロジェクトGに関して、全国で展開されている案件の全体像を捉えやすくすること
(9)
グループ企業の総合力を活かしたプロジェクトGの展開

これらの指摘事項に関してどのような状況にあるのか、2017年8月に関係者へのインタビュー調査を実施しました。その調査や実際のCSR報告書2017の内容をもとに、改善状況を検証します。

(1)毎年「CSRに関する改善テーマ」を確認し、持続的な改善を実践していくこと

同社は、デリバリー事業の拡大、ノンデリバリー事業の成長、海外展開の強化などに取り組んでおり、その結果、期待される「社会的責任」は大きくなってきていますが、同社は、グループ企業理念のもとで、その影響やステークホルダーの期待等を検討・把握した上で、CSRにおいて取り組むべき重要事項を明確化しています。

こういった前提のもと、CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、『毎年「CSRに関する改善テーマ」を確認し、持続的な改善を実践していくこと』について指摘をしました。

CSR報告書2017では、その「ハイライト版(冊子)」では、「安全」「環境」「社会」の3つの切り口ごとに、新たに扉ページを設定し、挑戦していることの明確化、ならびに、「2016年度の注目の取り組み」として象徴的な実践を解説するようになりました。また、「フルレポート版(Web)」では、「2016年度の取り組み実績」の項目を設けて、より詳細に、取り組み内容とその実績と成果を解説しています。そこでは、できるだけ数字を用いて成果を示すことも行っています。

これらの改善の結果として、同社のCSRにおける改善テーマとその対応状況・実績が検証できるようになっており、評価できるものです。

そういった改善を踏まえつつ、今後は、「CSRに関する改善テーマ」を事前に掲げ(Plan)、その実施(Do)や検証(Check)・改善(Action)を行うPDCAサイクルをより定着させること、そのために、「CSRに関する改善テーマ」について、(事後的な報告書に掲載するだけではなく)、根拠を明確にした上で事前に設定をし、Webサイト等を活用して適宜発信することが期待されます。また、可能であれば、第三者意見に対しても、同様に検証や発信を行うことも期待されます。

(2)海外展開にあわせたCSRのあり方

同社は、海外展開の強化に取り組んでいます。CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、「海外展開にあわせたCSRのあり方」を検討することを指摘しました。

CSR報告書2017では、冊子版において、新たに「ヤマトグループのグローバルなCSR活動」のページが設けられました。また、Webサイトでは、新たに構築された「社会貢献活動 検索ページ」において、「海外の取り組み」を検索可能にし、発信を行っています。結果として、グローバルな展開を行う同社が、地域の事情等も踏まえながら、CSR活動を行っていることが示されるようになりました。

今後は、グローバルなCSR活動においても、一定の仮説のもとでのCSR活動の充実にあわせて、充実した情報掲載が可能なWebサイトへの掲載を前提に、状況把握ならびに継続的な発信に努めていくことが期待されます。

(3)バリューチェーン全体で、「ヤマトは我なり」である社員一人ひとりがどのようにCSR/CSVに関わっていくのか、より明示的に確認出来るようにする仕組みやその情報発信をすること

(4)プロジェクトGに関して、課題に挑戦する現場でのヤマト社員の試行錯誤を行いやすくすること

(5)プロジェクトGに関する全国での実践を相互に学習や影響し合うこと

(6)プロジェクトGに関して、構築したモデルを他の地域に提供すること、その際に、現場での試行錯誤を促進・支援するための体制の整備

筆者の判断で2017年8月に実施したインタビュー調査では、支社ごとに、年2回、CSR/CSVに関する検討会議を行っていることの解説を受けました。そこでは、他の支社の好事例を相互に学びあうことが行われているとのことです。また、CSRに関する社内コミュニケーションをより効果的に行うことの課題認識も示されました。冊子やWebサイトのみならず、例えば、職場等で目にしやすいよう、ポスターなどで掲示することや、社内報でのCSR掲載コーナーなどが想定され、「ヤマトは我なり」である社員一人ひとりがどのようにCSR/CSVに関わっていくのか、身近な活動として実感でき、具体的な行動に結びつくことを意図した発信や表現方法の充実も今後に期待されます。

プロジェクトGは、全国各地での実践が進み、相互での学習や影響し合うことをさらに促進させることが重要になってきています。また、プロジェクトGの各案件において、現場レベルで様々な試行錯誤が行われており、徐々に進化し続けています。現場での試行錯誤を促進するために、様々な支援も行われています。今後は、社内での相互学習がより促進されるよう、現場での試行錯誤において直面している課題や、その促進・支援における実施内容等について、社内コミュニケーションを充実させていくことで、より実効性が高まることが期待されます。

(7)プロジェクトGに関して、(より協業型のスタイルを進化させ)具体的な制度等の課題について、協働での設計・構築を推進する体制の整備

プロジェクトGは、ヤマトグループの創業以来の理念を促進させるものであり、その加速化や定着化、そしてさらなる進化が重要となります。

プロジェクトGのあり方としては、以下の類型があり得ると思います。

プロジェクトG 1.0:企業が持ち合わせている要素(プラットフォーム)を社会に提供可能にする
プロジェクトG 2.0:求められる社会ニーズに応える仕組みを構築する
プロジェクトG 3.0:多様な主体とともに協業モデルを構築し、共有価値を共創する

同社の実践では、CSR報告書の特集等で示されているとおり、現場での試行錯誤を通じて3.0のモデルが主流になっていると思います。その結果、社会における新機軸を実現でき、社会課題の解決へと前進する仕組みづくりが実現しています。

今後、この3.0レベルの実践が、全国各地でさらに促進され、熟度が上がっていくことが期待されます。ただし、プロジェクトGが取り組む社会課題の領域では、実践を通じた試行錯誤から、本質的な課題が明らかになることがあり得ます。また、社会システムや制度的な設計や改革が求められることにも直面します。その際の進め方としては、課題に挑戦する現場でのヤマト社員の試行錯誤を行いやすくすることや、より協業型のスタイルを進化させ、具体的な制度等の課題についても、協働での設計・構築を推進する体制を整備することが期待されます。

今後に期待されることとして、こういったプロジェクトGをさらに推進・普及させるための課題や、その改善状況などを、年度単位で明確にすること、ならびに公表することが期待されます。

(8)プロジェクトGに関して、全国で展開されている案件の全体像を捉えやすくすること

CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、CSR報告書2016(冊子やWebサイト)では、特集等を通じて、特徴あるプロジェクトGの実践を解説しており、その役割や価値を示している一方で、全国で展開されている数多くの案件の全体像が捉えにくい状況にあること、全国で展開されるプロジェクトGの全体感も魅力があるものであり、新たな協業に繋がるきっかけとなることも想定されることを指摘しました。

CSR報告書2017では、Webサイトにおいて実践紹介の充実や情報の更新なども行われ、記載内容が充実してきています。また、ヤマト運輸ホームページ「地域の課題解決取り組み事例」ページにおいても情報が充実し、CSR報告書(Webサイト)からのリンクなども提供されています。CSR報告書2016の段階と比較して、一定の改善がみられます。

(9)グループ企業の総合力を活かしたプロジェクトGの展開

ヤマトグループは、デリバリー事業、BIZロジ事業、ホームコンビニエンス事業、e-ビジネス事業、ファイナンシャル事業、オートワークス事業、その他の各種事業を推進しています。そういったグループ企業の総合力を活かしたプロジェクトGの展開について、すでにいくつかの実践はありますが、今後さらなる推進を行うことや、事業の連動性を高めることでの実効性を増加させていくこと、可能性のあるアプローチを多角的に検討することなども 期待されます。

■ CSR報告書2017の第三者意見として「今後に期待すること」

社会からの期待として、重要な社会インフラを担う企業であるヤマトグループにおける「働き方改革」の観点があります。

CSR報告書2017では、トップメッセージを示すことや経常的に行ってきたことの解説はありますが、特別な言及は行われていません。CSR報告書2017の発行時期の兼ね合いから、具体的な施策や実施内容としての記載を行うことに限界があったことが想定されますが、着目すべき重要なテーマであるため、実効性の高い「働き方改革」の実施とあわせて、今後、適宜更新可能なWebサイトのCSR報告書における発信を充実していくことが期待されます。

第三者意見として、これまでに指摘した内容は以下の通りとなります。次年度以降に検証することを期待します。

(1)
「CSRに関する改善テーマ」を事前に掲げ(Plan)、その実施(Do)や検証(Check)・改善(Action)を行うPDCAサイクルをより定着させること
(2)
第三者意見に対しての検証や発信を行うこと
(3)
グローバルなCSR活動においても、一定の仮説のもとでのCSR活動の充実にあわせて、充実した情報掲載が可能なWebサイトへの掲載を前提に、状況把握ならびに継続的な発信に努めていくこと
(4)
CSRに関する社内コミュニケーションをより効果的に行うこと。「ヤマトは我なり」である社員一人ひとりがどのようにCSR/CSVに関わっていくのか、身近な活動として実感でき、具体的な行動に結びつくことを意図した発信や表現方法の充実。
(5)
プロジェクトGに関して、社内での相互学習がより促進されるよう、現場での試行錯誤において直面している課題や、その促進・支援における実施内容等について、社内コミュニケーションを充実させていくことで、より実効性を高めること
(6)
プロジェクトGをさらに推進・普及させるための課題や、その改善状況などを、年度単位で明確にすること、ならびに公表すること
(7)
グループ企業の総合力を活かしたプロジェクトGの展開
(8)
実効性の高い「働き方改革」の実施とあわせて、WebサイトのCSR報告書における発信を充実していくこと

2. CSR報告書の記載内容:客観性・理解の容易さなど

<優れていること>

ヤマトグループのCSR報告書は、2016年度より、「ハイライト版(冊子)」と「フルレポ ート版(Web)」の組み合わせで提供されています。冊子は小型化し、詳細や網羅性のある解説はWebサイトにて示すことを前提に、特筆したい現在の動きや数値等の掲載を冊子にて行っています。

CSR報告書の形式や提供・活用方法は、それぞれの企業の観点や戦略からの工夫が求められるものです。

冊子については、総合的かつ網羅的に示された印刷媒体が提供されることは魅力的ではありますが、宅急便などのヤマトグループの商品やサービスは、一般の方も利用するものであるため、配布しやすく、また手軽に閲覧していただけるように、2016年度から小型化や掲載内容の特色化・重点化などの工夫が行われています。ステークホルダーとのコミュニケーションを重視する観点からの工夫は重要であり、実際に活用する場面の設計や、その活用状況等を確認しながら、持続的に、今後のスタイルを検討されることを期待します。

2017年度の冊子では、2016年度版と同様に、「安全」「環境」「社会」の切り口で発信していますが、それぞれの扉にあたるページを設定し、「2016年度の注目の取り組み」を特集することや、各所で「TOPICS」として囲み記事を充実させることで、2016年度における実践から特に注目すべきことを伝える工夫がされています。

また、『「安全」「環境」「社会」に関する重要な取り組み』の掲載は、2016年度はWebサイトのみの掲載でしたが、2017年度は冊子においても掲載が行われるようになり、ヤマトグループのCSRにおいて何に重点的に取り組んでいるのかを伝えることが行われています。

Webサイトでは、その特性を活かし、例えば、動画の活用を通じて、ヤマトグループのCSRに対する姿勢と取り組みを理解しやすくするなど、コミュニケーションしやすくする工夫を行うことや、過去の特集などへのリンクを用意し、より理解を促しやすくすることなどを行っています。また、その年の特集テーマのコンテンツを充実させていくことで、特に着目することの具体化なども行っています。

2017年度のWebサイトでは、「社会貢献活動 検索ページ」が提供されるようになりました。これまで、「安全」「社会」「環境」のそれぞれに掲載されていましたが、「活動テーマから探す」「地域から探す」「社名から探す」といった検索機能で把握できるようになり、そのヤマトグループにおける具体的な活動内容を一元的に把握できるようになりました。ヤマトグループは、各現場での様々な実践が行われているため、今後は、適宜、Webサイトへの情報掲載を行うよう、情報収集方法の工夫が期待されます。

Webサイトの特集では、冊子よりも情報を充実させることや、ステークホルダーの声・社員の声を記載することなど、より詳細に伝える工夫が行われています。

概して、CSR報告書では、レポート作成がメインになりやすいところを、冊子とWebサイトを組み合わせて、コンテンツの充実や説明可能性を高めることで、安定的にコミュニケーションをする体制を整えています。こういった基盤を活かした、ステークホルダーとのコミュニケーションのさらなる促進に期待します。

<今後に期待すること>

■「CSR報告書2016の第三者意見」に関する状況と「今後に期待すること」

CSR報告書2016に対する第三者意見において、「今後に期待すること」として、以下の観点を提示しました。

(1)
数値指標に関して、経年の変化が捉えられるようにすることや、相対的なデータを提供すること、それらから目指す方向性や課題を示すこと
(2)
成果の定義や定量化が困難な領域において前進状況を示すこと
(3)
ESG(環境・ 社会・ガバナンス)投資やインパクト投資の潮流との関係
(4)
Webサイトで、常に動いているヤマトグループのCSRを実感しやすくすること
(5)
CSR報告書のあり方の改善テーマを毎年明確にすること

これらの指摘事項に関してどのような状況にあるのか、2017年8月に関係者へのインタビュー調査を実施しました。その調査や実際のCSR報告書2017の内容をもとに、改善状況を検証します。

(1)数値指標に関して、経年の変化が捉えられるようにすることや、相対的なデータを提供すること、それらから目指す方向性や課題を示すこと

(2)成果の定義や定量化が困難な領域において前進状況を示すこと

全般的に、数値を用いた説明がされていることは評価できますが、CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、経年の変化が捉えられるようにすることや、相対的なデータを提供すること、それらから目指す方向性や課題を示すことを指摘しました。また、数値については、項目によって、数値記載の有無やレベル感のばらつきが見られること、例えば、「安全」の分野では、多くが、実現した成果(アウトカムやインパクト)が数値で明示され、同社に重要な観点として徹底していることが読み取れますが、「環境」「社会」については、(可能な限り定量的に示されていますが)実施内容(アウトプット)の記載や、定性的な説明となっているものが見られることや、成果の定義や定量化が困難な領域もありえますが、その場合は、社会において果たしていることを丁寧に補足すること、(定性的な記載であったとしても)年次での変化や差分が読み取れるようにすることで前進状況を示すことが求められることを指摘しました。

CSR報告書2017では、特にWebサイトにおいて、経年情報を充実させることや、「環境」の分野などでヤマトグループ全体をグラフで掲載するなど、数値として捉える努力を行い、把握できたものの開示が進められていました。今後も、数値指標の充実や経年変化を把握することが期待されます。ただし、技術やコストの面から数値化が難しい領域もあり、また、成果の定義や定量化が困難な領域もありえますが、その場合は、社会において果たしていることを丁寧に補足すること、年次での変化や差分が読み取れるようにすることで前進状況を示すことが、今後とも期待されます。

(3)ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やインパクト投資の潮流との関係

CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、ESG(環境・ 社会・ガバナンス)投資やインパクト投資の潮流に適合するための情報開示や数値情報の発信などを、より訴求できるように行うこと(ただし、IRとCSRは、ねらいや目的が異なるものであるため、(完全に統合させるということではなく)どのような関係や方針とするかの検討が求められること)を指摘しました。

この観点については、記事の掲載や数値の開示などを行ってきていますが、今後とも継続的に検討することが期待されます。

(4)Webサイトで、常に動いているヤマトグループのCSRを実感しやすくすること

Webサイトは、情報の改訂や発信を容易にすることができるものです。CSR報告書2016への第三者意見の「今後に期待すること」として、「CSRニュース」の欄では、授賞や協定の締結、イベント出展等を適宜発信していますが、より戦略的に、CSRの推進状況や、各種イベント実施や協定締結などの後の状況についても発信することで、常に動いているヤマトグループのCSRが実感しやすいものとなりえることを指摘しました。

CSR報告書2017では、「社会貢献活動 検索ページ」を構築したことで、より多角的に発信が可能となっています。今後は、その仕組みを活用し、継続的に情報発信を行っていくことが期待されます。

(5)CSR報告書のあり方の改善テーマを毎年明確にし、発信すること

CSR報告書のあり方については、毎年、持続的に改善をし続けるものであるため、今後とも、継続的に、どのような方針を掲げて改善を行っているのか、毎年の改善事項の明確化とその状況についても発信することを期待します。

■ CSR報告書2017の第三者意見として「今後に期待すること」

SDGs(持続可能な開発目標)との関係や考え方を示すことで、グローバルレベルも含めて、多様な主体と連携等を促しやすくできる可能性があります。ヤマトグループとして、どのような考え方をするのか検討することが期待されます。

中期経営計画の策定などとの関係から、Webサイトでの記載の更新が可能な要素がある場合は、適宜、更新を行うことも期待されます。

第三者意見として、これまでに指摘した内容は以下の通りとなります。次年度以降に検証することを期待します。

(1)
数値指標の充実や経年変化の把握、成果の定義や定量化が困難な領域において前進状況を示すこと
(2)
ESG(環境・ 社会・ガバナンス)投資やインパクト投資の潮流との関係
(3)
「活動検索ページ」等を活用し、継続的に情報発信を行い、常に動いているヤマトグループのCSRを実感しやすくすること
(4)
CSR報告書のあり方の改善テーマを毎年明確にし、発信すること
(5)
SDGs(持続可能な開発目標)との関係や考え方を示すこと
(6)
中期経営計画の策定などとの関係から、Webサイトでの記載の更新が可能な要素がある場合は、適宜、更新を行うこと

ご意見をいただいて

ヤマトグループのCSR活動報告について、貴重なご意見ならびにご提言をいただき、誠にありがとうございます。

本年のCSR報告書では、ヤマトグループのCSR活動をステークホルダーの皆さまにより理解していただけるよう冊子版では「安全・環境・社会」のそれぞれの分野で2016年度、特に注力した取り組みを取り上げ、WEB版では、グループのCSR活動を検索しやすいよう「活動検索ページ」を新たに設けました。

これらで紹介した取り組みは、ヤマトグループの社員一人ひとりが地域のお客様のために何ができるかを考え実践した結果であり、玉村様からはこれらの取り組みについて、多様な社会課題に対してより踏み込んだ展開が行われているとの評価をいただき、大変光栄に思います。

「働き方改革」では社員一人ひとりがイキイキと誇りを持って働くために、経営の最優先課題とし取り組んでおります。本年のCSR報告書では掲載しきれなかった取り組みなどは、ヤマトホールディングスホームページ内の「CSRニュース」などを活用し順次ご報告させていただきます。

また昨今、「持続可能性(サステナビリティ)」の実現が叫ばれおり、一例として2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成や「ESG投資」が日本でも急速な広がりを見せています。ヤマトグループにおいても、これらにおける情報を積極的に開示しつづけ、その開示情報をしっかりと整理し、ステークホルダーの皆さまとより安定したコミュニケーションが取れるよう工夫してまいります。

今後も、社員がヤマトグループに誇りを持ち続け、地域のお客様に何ができるかを各々が考え実践できる風土・理念を大切にし、グループ一丸となって地域社会に貢献してまいります。

ヤマトホールディングス株式会社 上席執行役員  大谷 友樹

ヤマトホールディングス株式会社
上席執行役員
法務・CSR戦略担当

大谷 友樹

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