平成17年4月1日

ヤマト運輸株式会社 平成17年度入社式社長訓示(要旨)

 皆さん、入社おめでとうございます。12万人の社員を代表して心より歓迎の意を表したいと思います。昨年の就職戦線は大変厳しかったと聞いています。その中でヤマト運輸に入社した皆さんに、今日はヤマトの歴史・現在の会社の状況・社員としての心構えをお話ししたいと思います。


1. ヤマト運輸の歴史について
 

ヤマト運輸は1919年、日本にトラックが204台しかなかった時代に4台のトラックを所有して事業を始めた会社です。馬車や牛車が当たり前の時代に、時速40キロのスピードを手に入れていたヤマト運輸という会社は、今の時代感覚ではジェット機を持っていたようなものでした。そうした先進性が受け入れられ、ヤマトは10年後の1929年、今度は東京〜横浜間での路線事業を始めます。当時は貸切り輸送が当然の時代でしたから、この事業も多くのお客様に受け入れられました。ところが、高度成長期、ネットワークを関東以外へ拡大しなかったため、大型大量長距離輸送のマーケットに乗り遅れてしまいます。
  そして、いつのまにか、日本の危ない会社100社に選ばれてしまったのです。そこで、起死回生の策として始めたのが宅急便です。わかりやすい料金体系・全国翌日配達・電話一本での集荷のサービスなどがお客様のニーズとマッチし“危ない”と言われていたヤマト運輸は復活することができました。今日までに、私たちは約130億個の宅急便を運んでいます。

2. ヤマト運輸の状況
   しかし、29年前は感動をもって受け入れられたサービスも、すっかり当たり前になってしまいました。皆さんにとってみれば生まれた時からあるシステムなので、当然だと思います。また、日本郵政公社という手強いライバルも存在しています。このライバルとの競争は不公平な部分が多く、その点については裁判をしています。しかし、お客様にとっては安ければ良いという側面もあるため、私たちが大変厳しい状況にあるのも事実です。その中で、今日からヤマトでは「ヤマトグループレボリューションプラン2007 新価・革進3か年計画」という中期経営計画をスタートさせました。良い商品を安く買いたいというお客様のご要望に応える為、経営のスリム化と競争力アップを図ります。またヤマトグループは、来年の4月から純粋持株会社体制となります。それぞれの会社が自社の事業領域の中でお客様のニーズに合わせた商品を開発し成長していきます。今年はその準備段階にあることを皆さん、知っておいてください。
3. ヤマト社員としての心構え
 

 最後に働く上での心構えですが、ヤマトにはグループ企業理念というものがあります。社訓・経営理念・企業姿勢・社員行動指針という4つから成り立つのですが、今日はその中でも創業の精神である社訓についてお話しします。社訓は「一、ヤマトは我なり一、運送行為は委託者の意思の延長と知るべし一、思想を堅実に礼節を重んずべし」となっています。最初の「ヤマトは我なり」は全員経営の思想です。また、「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」は、顧客第一を表現しています。私たちは荷物1つ1つに送り手・受け手の想いがあることを忘れてはいけません。そして最後の「思想を堅実に礼節を重んずべし」はまさに、遵法精神つまりコンプライアンス経営を表しています。最近、一流企業や有名企業で不祥事が頻発しています。また今日からは個人情報保護法が完全施行されました。市民生活が成熟化し、法を守らない企業は市場から退出を余儀なくされます。皆さんにも、グループ企業理念の冊子が配布されると思いますので、しっかり読み込んで自分のものにして下さい。

4. 最後に
    今日入社した136名の皆さんは同じ時期に、同じ環境を過ごすことになった仲間であり、ライバルです。ライバル同士、切磋琢磨すれば、自分自身を高めることにもなります。ぜひ、仲間と良い関係を築いてください。また最後に、皆さんに紹介したい言葉があります。孔子の「心ここにあらざれば、見れども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味を知らず」という言葉です。これは“同じ時間を過ごすとしても、その物事に集中しているかどうかで結果がまったく異なってしまう。しっかり意識しなければならない”という意味です。皆さんにはさっそく仕事が与えられるでしょう。そこで、1つ1つの物事に集中して取り組み、充実した時間を過ごしてほしいと思います。
   
    2005年4月1日は皆さんにとってもヤマトにとっても新たなスタートの日となりました。頼もしい仲間が加わってくれたと思っています。一緒に頑張りましょう。よろしくお願いします。
 
以上


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