平成19年4月2日

ヤマトホールディングス株式会社・平成19年グループ入社式社長訓示(要旨)

  新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。今年はヤマトグループ全体で539名の新入社員を迎えることができました。ヤマトグループを代表して皆さんにご挨拶を申し上げます。


1. 会社の憲法について
 

まず最初に皆さんにお話ししたい事は、会社の憲法を知っていただきたいという事であります。どの会社にも社訓なり、経営理念といった憲法にあたるものがあります。ヤマトグループの憲法は社訓になります。この社訓は創業当初にできたものであり、「ヤマトは我なり」「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」「思想を堅実に礼節を重んずべし」の3つのことを言っており、非常に重い言葉であると思っています。

一つ目の「ヤマトは我なり」という言葉は、皆さんから言うと、「私がヤマトグループである」という事になります。ヤマトグループを代表して皆さんがこれから世の中で活動していくという事であります。外部の方から見ると、あなたが良い印象をもたれるとヤマトは非常に良い会社だ、あなたが悪い印象をもたれるとヤマトはダメな会社だという様に思われます。皆さんは「ヤマトは我なり」という言葉をしっかりと身に入れて下さい。
皆さんは最初チームで仕事をすることが多いと思いますが、そのチームでコミュニケーションを良くして、会社の方向性をしっかり理解した中でチームでの目標をしっかり決め、そして自ら仕事に参加していくことが非常に大事です。
ヤマトグループは15万人もいる会社ですが、一つ一つのチームは非常に少人数の単位になっています。一人がさぼると仕事で大きな穴が開いたり、チームの他の人が気付かない所までやらないといけない事もあります。チームの人数が少ないと色々な仕事ができないといけないので、皆さんは早く仕事を覚えて、他の人のフォローまでできるようになると非常にありがたいと思います。

二つ目の「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」は、「サービス第一」という事を言っています。お客様にどれだけ良いサービスを与えることができるのかということが非常に大事なことであります。例えば宅急便の場合、送り主は受取人の事を思って荷物を送っているので、ヤマトにとっては受取人へのサービスは非常に大事になります。送り主の心がそのまま受取人に届くようにしなければなりません。おいしいものはおいしいままお届けする、受取人が届けて欲しい時間帯にお届けしたり、受取人が気持良くなる様な応対をしてお届けする事であります。

三つ目の「思想を堅実に礼節を重んずべし」とは、コンプライアンスの事であります。
世の中ではコンプライアンスを守れずに、ガタガタになってしまう会社が非常に多くなっています。法令に違反する様な行為があると、会社は一気に傾いてしまいます。
15万人の社員がいる88年の歴史があるヤマトグループでも、たった一人の不心得者が出ると、一気にガタガタと崩れる事を肝に銘じてもらいたいと思います。
「礼節を重んずべし」は、これから色々な人との係わり合いが出てくると思いますが、その人たちとの関係をしっかりとするためには、きちんとした礼節をわきまえなければならないという事であります。お客様や社外の人たちと接する時にも礼儀を失することのない様に、ヤマトマンとしての規律をしっかりしていただきたいと思います。

2. ヤマトグループの現状について
 

次に現実の話になりますが、現在ヤマトグループは第三回目の改革期に来ています。
1919年に創立されて、その10年後には路線事業に乗り出しました。(第一回目の改革期 東京−横浜間で初めて路線便を開始)
貸切輸送でスタートしましたが、混載輸送に切り替えた事で、色々な荷物が扱えるようになり、企業としても大きく成長しました。
第二回目の改革は、皆さんも良く知っている1976年宅急便の開始であります。宅急便の開始前は、路線便のビジネスモデルの伸び悩みに対する改革が遅れたために停滞期に入ってしまいました。
宅急便は、個人から個人への荷物を取り込む事を目標に始めました。当時、郵政省の郵便小包と国鉄の荷物で2億5000万個の市場でありました。宅急便を開始する前には、百貨店の配送をやっていたので、小口配送には非常に強いものがありました。
荷物が集まると儲かるという経験をしていたので、個人からの荷物はいつ発生するか分らない、どこで発生するか分らない、発生してもどこに行くか分らない、という非常に難しい仕事でありましが、これにあえて挑戦しました。
宅急便開始から31年経つが、宅急便はイノベーションの歴史でありました。スキー宅急便、ゴルフ宅急便、クール宅急便、コレクト宅急便、オークション宅急便など新しい商品をどんどん生み出してきました。宅急便は新しい商品・サービスを世に出すことで成長してきました。
現在の宅急便は取扱数が11億個を越えて、成長力が鈍ってきました。このまま先々も伸び続ける事はありえず、宅急便が元気なうちに、他の物流周辺事業を増やすことで総合力で収益を上げて我々は勝ち抜いていく戦略に変わっています。(第三回目の改革期)
今は宅急便も頑張るが、その他の事業会社が力強く頑張っている状況であります。

3. 皆さんに期待する事
 

事業会社の事業を早く展開していくには、人間の力が大事であります。皆さんの様な若い
力は今の新しい時代の事が分っていて、今の時代の変化を身を持って感じられます。新しい感覚で、物流周辺事業でお客様がもっと喜んでくれるアイデアを出してくれるものと思います。女性の感覚で見るものは、男性が見るものとは全然違います。テーマの見つけ方や解決方法は一味違った良いアイデアが出てくるものと思います。
これからは益々、若い人や女性が必要になってきます。その中で、本日新入社員の皆さんを迎えることが出来たのはヤマトグループの将来にとって非常に楽しみなことであります。

最後になりますが、企業は商品を出すだけではなく勝たなければなりません。勝つというのは、収入と収益がきちんと増えて、株主にも喜んでもらい、社員にも配分されて良い生活ができるという事であります。
“天の時”“地の利”“人の和”の3つの事が重なると勝てると昔から言われています。
永続的に発展できる会社になるためには、“天の時”“地の利”“人の和”の3つを揃えられる様にみんなで頑張っていく事を最後にお願いしたいと思います。
本日は入社おめでとうございます。これからみんなで一緒に頑張って行きましょう。

 
以上


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