政府統計調査業務での提携について


1. 公共サービス改革法(市場化テスト)に基づく政府統計調査の民間開放では、〔1〕国勢調査をはじめとする調査員による大規模な訪問調査を実施できる民間調査会社が存在しない体制問題(受皿問題)と、〔2〕これまでの政府統計調査の品質確保――の2点が大きな課題とされている。ヤマト運輸と日経リサーチの2社連合は、この課題を量的にも質的にも相互補完しながら解消して、政府統計調査の民間開放の積極的受注を目指す。

2. 民間調査機関の登録調査員は大手でも数百人程度のため、調査員が調査対象者を訪問して実施する形式の政府統計調査の受注は全国規模では困難とみられてきた。そのため複数社への発注や、ひとつの調査を都道府県別に分離した規模・単位での発注なども検討されているが、品質統一の観点から分割方式には懸念もあった。そこでヤマト運輸の全国展開ネットワークを活用して大規模な調査員網を構築することで、第一の体制問題の解決への道を拓く。

3. 一方、統計調査の品質確保の問題に関しては、調査専門機関として経験・実績のある日経リサーチが調査員教育を担当することでノウハウを提供する。具体的には統計調査員の育成プログラムの作成と教育・研修の実施、両社独自の調査員資格制度の導入などを検討している。

4. ヤマト運輸と日経リサーチの両社はすでに一部地域で試験調査を共同実施して連携の可能性を検証しており、全国で数千人規模の調査員体制の構築を見込んでいる。これにより国内最大級の調査員網をもつ機関が出現することになり、大規模な政府統計調査の受注も可能になる。

5. 各省庁は調査員を使わない投函調査(郵送調査)も先行して積極的に民営化する考えだが、ヤマト運輸では既に全国でメール便ビジネスを展開しており、この手法を用いる政府統計調査においても積極的な受注を目指す。


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