平成20年4月1日

ヤマトホールディングス株式会社・平成20年グループ入社式社長訓示

  新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。今年はヤマトグループ全体で476名の新入社員を迎えることができました。ヤマトグループを代表して皆さんにご挨拶を申し上げます。
  本日は満開の桜の中で入社式を迎え、非常に良い門出を切ることができたと思います。新入社員の皆さんは、10〜20年後にとても良い時期にヤマトグループに入社して良かったと思うのではないかと思います。それは、我がグループの活躍の場が非常に広がっているからであります。宅急便から始まった事業はその領域を物流周辺事業の中でどんどん広げております。「物流」という仕事は、生産から消費まで関係し、メーカーの生産過程や流通での改革というように仕事のフィールドが広がると思います。また、事業のエリアもこれまでは日本が中心でありましたが、これからは海外にどんどん出て行くことになると思います。
  皆さんは入社式の時にはヤマトのどこかの事業会社で入社しますが、途中から実力次第ではヤマトの別の事業会社に引き抜かれて行くことになるのではないかと思います。我々の会社は、実力のある人は性別や年齢に関係なく重要なポストに就いて力を発揮できる会社です。40代の事業会社社長やヤマトホールディングスの執行役員もおります。非常に若返っている会社でありますので、皆さんにも活躍のフィールドが出てくるのではないかと思います。



1. 会社の憲法について
 

  会社には会社の憲法というべきものがあり、我が社で言うと社訓になります。
社訓は会社の進むべき方向性を示しているので、是非頭の中に入れていただきたいと思います。社訓には三つの言葉があります。一つ目は「ヤマトは我なり」、二つ目は「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」、三つ目は「思想を堅実に礼節を重んずべし」であり、1919年のヤマト運輸創業以来89年間脈々と受け継がれています。

  一つ目の「ヤマトは我なり」については、社外の人には「自分がヤマトの代表である」という事であります。ヤマトグループの社員ひとりを見て、ヤマトグループ全体を判断することになるので、社会人としてやりがいもありますが、一人一人の責任が重くなります。
  また社内おいては「全員経営」という言葉があります。これは、みんなで情報を共有化し、同じ目標を持ち、仕事に参画して行くと言うことであります。自分が経営者の気持ちになり、自分で経営していくんだという様な気持ちでやっていただきたいと思います。

  二つ目の「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」については、運送の仕事が直接関係ない方もおりますが、ヤマトグループの出発点はヤマト運輸であり、物流周辺事業で会社を発展させていくことからも、この言葉を良く覚えていただきたいと思います。この意味するところは、お客様の困りごとを解決していくことであります。お客様満足の創造やサービス第一という様に、お客様の身になって解決していくことを皆さんは良く心得ていただきたいと思います。運送行為という配送だけの仕事ではなく、心までをも運んでいくということを頭の中に入れていただきたいと思います。

  三つ目の「思想を堅実に礼節を重んずべし」については、基本的にはコンプライアンスのことであります。正しいことをきちんと実行する事が非常に大事であります。ヤマトグループは社員が17万人の会社であるが、17万人も社員がいれば1つや2つの不祥事が起ってもよいということは決してありません。ひとり一人がきちんとした心を持って、悪い事は絶対にしない、人の嫌がる事はしない、ということを実行していただきたいと思います。

2. ヤマトグループの現状について
 

  ヤマトグループとしては現在、第3回目の改革期に来ております。
第1回目の改革期は1929年です。初代社長の小倉社長が日本で初めて東京−横浜間で路線事業を始めました。当時は馬車による貸切輸送が中心でありましたが、トラック定期便を走らせ、6年後には関東一円でヤマト便(路線便)の路線網を築き上げました。
第2回目の改革期はオイルショックの後であります。この当時は関西のテレビや冷蔵庫の工場から東京の販売会社への輸送が中心となっていました。しかしながらオイルショクで荷物の輸送が激減し、会社の存続すら危ぶまれた時期でありました。2代目の小倉社長は宅急便を発案し、商流貨物(BtoB)から宅急便(CtoC)という業態変換となる大きな改革を行ないました。
  その当時CtoCを手がけていたのは郵政と国鉄のみでありました。ヤマト運輸は百貨店配送の仕事も行なっており、荷物が多く集まると利益が多く上がる事が経験的に分かっていました。宅急便は郵政が出来なかった翌日配達・われもの取扱い・集荷サービスと均一料金を採用したことでお客様の支持を受け、荷物の取り扱いが増えました。その後は宅急便の取り扱う分野をゴルフ宅急便・スキー宅急便・クール宅急便と広げて行きました。新しい分野での商品化は、スキー客や帰省客の風景ががらっと変えました。
  このようにお客様が困っている事に対して、新しい需要に対応した商品を出していく事で、宅急便は大きく成長してきました。お客様の困っている事を解決してあげる、クレームはニーズの裏返しと言っていますが、こういったことをしてあげるとお客様は喜んで、商品はヒットしていきます。宅急便で31年きましたが、今はもう一歩飛躍できる時代に来ています。
  宅急便が成長してからは、宅急便一本足打法になっていました。会社においては一本足というのは不安定であり、宅急便がこけたら会社もこけてしまいます。宅急便で培った経営資源(集配ネットワーク・社員・車両・情報・決済機能)を土台にして、宅急便以外の物流分野に出て行きます。百の足が出来れば、随分強くなります。一本の足から百本の足へ(百足・ムカデ)、そうすると非常に安定してきます。
  今はグループフォーメーションという機能毎の括りをつくり、会社の体制を新しくしています。これまではヤマト運輸の下に子会社がありましたが、現在はヤマトホールディングスの下にヤマト運輸をはじめとした事業会社が兄弟会社として並列にあります。
  ヤマトグループの機能を大きく分けると、「IT(情報)・LT(物流)・FT(決済)」の3つになります。この3つの機能を上手く組み合わせながら、お客様に対して新しい提案を行なっています。最近の事例としてはCtoB(個人から会社へ)のリコール回収事業は伸びています。リコールが発生した企業は、「早期の回収・消費者への対応」で非常に大変であり、回収や修理等でお客様をサポートする事業展開をしています。

  新年度となる本日からは、新しい中期経営計画が始まります。この中期経営計画は「満足創造3か年計画」というネーミングであります。お客様にどれだけ満足を創造できるか、皆がそれぞれのポジションでひとり一人が考え実行していくための中期経営計画であります。その中には「事業エリアのアジア圏への拡大」が大きな柱の一つとして入っています。ヤマトグループが展開している事業は、世界で類を見ないものが多くあります。世界から見るとすごい仕事をやっており、いろんな事業をアジアへ移植していこうと思います。アジアの国々へ移植する場合には、日本国内で一番強い事業モデルでなければ通用しないと思います。日本国内でオンリーワン事業をつくり、それをナンバーワンビジネスに仕立て上げ、それを世界に持っていく取組みを進めています。皆さんもその一躍を担う事になりますので、是非頑張ってください。

  最後になりますが、事業展開するにあたって、最後は「人」が大切であります。
「人」の重要性は非常に大きいものがあり、我々も皆さんが育つ環境を整えていこうと思いますが、ヤマトグループは性別・年齢が関係なく頑張れる会社であり、皆さんのご活躍を期待しますので頑張ってください。
本日は入社おめでとうございます。

 
以上


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