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第1部、100年のあゆみ。物流を切り拓いた、イノベーション

第5章、グループ連携の物語

EC 、電子商取り引きの急激な拡大、デジタル技術の進化など、わたしたちの生活を取り巻く環境が大きく変化するなか、新たな成長戦略のひとつとして考えられたのが、2005年、平成17年の純粋持株会社制導入だ。たっきゅうびんの成長とともに築いてきた経営資源を適切に配分し、既存事業の活性化と新規事業の成長を促すこと。おぐら まさおが語った、変わるべきものと、変わるべからざるものへの新たな取り組みが始まった。

グループ最大の物流ターミナル、羽田クロノゲート。2013年。

1. グループ経営の推進

ホールディングス誕生

2005年、平成17年、ヤマト運輸株式会社は、ヤマト ホールディングス株式会社 (以下、 YHD ) へ商号変更し、純粋持株会社制に移行した。 YHD はグループ全体の意思決定、監督機能を担い、デリバリー事業、ビズ ロジ事業、ホーム コンビニエンス事業、e ビジネス事業、フィナンシャル事業、グループ サポート事業の各会社が、その傘下に、はいる体制となった。こうした体制変更の背景には、たっきゅうびんで築いた経営資源を、既存事業と新規事業とに適切に配分し、たっきゅうびん 一本足打法からの脱却を遂げる意図があった。当時、 YHD 会長兼社長を務めていたありとみ けいじは、これまでたっきゅうびんは着実に成長してきたが、成長がいつまでも続くとは限らない、との危機感をもち、時代の変化に対応し、たっきゅうびん以外からも、次世代のヤマトの柱となる事業を育てる必要があると、舵を切ったのである。事業フォーメーションは、先に2002年からの、新生進化 3か年計画で定めており、デリバリー事業と、それ以外の事業を切り分けることで、デリバリー事業は、よりスピーディーな対応が可能になった。一方で、ノンデリバリーの各事業では、自立的な事業成長をめざす姿勢を明確にした。

グループ経営の推進について語る、ありとみ けいじ、ヤマト運輸社長。2003年。

たっきゅうびんセンターの受付には、クロネコ メンバーズのサービスを提供する端末、ネコピットを設置。

街なかに設置された、プドー ステーション。同業他社もサービス展開が可能で、社会的な諸課題の解決に寄与する、オープン型の宅配便ロッカー。受け取りだけでなく発送も一部可能。

たっきゅうびんコンパクト、専用ボックス。2015年。

ジット ボックス チャーター便に使用する、専用のロール ボックス パレット。

2. デリバリー事業のさらなる進化

ラスト ワン マイルのきめ細かなサービス

純粋持株会社制 移行後、2008年、平成20年からは、満足創造 3か年計画がスタートした。ヤマト グループの強みは、物流の拠点からお客さまのもとまでの最終区間、すなわち、ラスト ワン マイルの、きめ細かなサービス網が全国に整備されていることだ。この計画では、お客さま満足をさらに確かなものとするため、現状のサービスを進化させ、そこに新しい仕組みを導入することにより、業務の効率化と、新たな成長への方向性を打ち出した。

そうした、お客さま満足の一手として大きく発展していったのが、2007年から展開していた個人向け会員制サービス、クロネコ メンバーズだ。もっと便利に、もっと簡単にたっきゅうびんをご利用いただけるサービスとして、受け取る、送る、支払う、を便利にする各種サービスを世に送り出していった。

すでに2002年から、たっきゅうびんメール通知サービスを始めていたが、クロネコ メンバーズでは、それをさらに進化させた。2010年開始の、たっきゅうびん受取指定サービスは、事前の e メールによって、受け取る時間帯だけでなく、受け取りかたも指定できるようになった。お客さまのライフ スタイルの変化に伴い、受け取りかたが多様化していくなかで、宅配から、個配への対応に乗り出したのだ。これは2016年から全国への設置が開始された、プドー ステーション (宅配便ロッカー) での受け取りなどにも結びついていった。ほかにも2017年からは、SNS を活用したお届け予定や、ご不在連絡の通知などの機能も加わった。さらにスマートフォンの普及によって EC 利用が拡大すると、通販サイト内で、受け取る時間帯や、方法を変更できる機能なども、通販事業者に向けて提供するようになった。

一方、 EC の浸透で、小さな荷物を送るニーズが高まってきた。そうした要望に応える新サービスとして、2015年には、専用ボックスに はいるサイズであれば、重量を問わない、たっきゅうびんコンパクトと、翌日配達と、ポスト投函の組み合わせからなる、ネコポスを発売。これらもフリー マーケット アプリなどの EC 利用者に向けて、匿名配送に対応するなど、より使いやすいサービスへと進化させている。

法人のお客さまに向けての展開

法人のお客さまをめぐる環境も変化し、それに対応したサービスの整備も進めていった。特に路線事業においては、既成概念を塗り替える いってを打った。それが2006年発売の ジット ボックス チャーターびんだ。これは同業者と共同出資して設立したボックス チャーター株式会社が提供する、ロール ボックス パレット単位で輸送する商品で、同業者同士の配送ノウハウとネットワークを組み合わせて、輸送効率を高めていく試みだ。ビジネスの場を提供する、いわゆる、プラットフォーム ビジネスに乗り出したのである。

このビジネス モデルは、そのご、航空貨物を含む共同輸配送のプラットフォームを提供する試みへと展開していき、 YHD などによって設立された、エキスプレス ネットワーク株式会社は、国内利用航空運送事業者10社の連携による共通配送商品であるスパットを2009年に発売した。

さらに、2004年から、高層ビルや、大型ショッピング センターなどの館内配送業務を手がけ、ビル タウン マネジメント サービスとして展開していった。2012年には、法人会員向け業務支援ポータル サイト、ヤマト ビジネス メンバーズをスタート。たっきゅうびんの出荷業務の効率化をはじめ、さまざまな業務課題を解決するウェブ サービスの提供に着手した。

3. ノンデリバリー事業の新たな展開

オンリー ワン ビジネス モデルの創出

ノンデリバリー事業の新たな事業創出は、純粋持株会社制への移行前から試みていた。その仕組みのひとつが、社内ベンチャー制度、Y ベンチャー ドリームだ。2002年、平成14年の第1回募集では、ヤマト運輸のコール センターをヒントに考え出されたアイデアを採用し、翌年のヤマト コンタクト サービス株式会社の設立につなげた。2016年、この制度を、ニュー バリュー チャレンジとして改め、新しい価値創出への挑戦を支援している。

満足創造 3か年計画に基づいた新たなビジネス モデルの創出も試みた。成長の可能性のある市場に着目し、イノベーションでオンリー ワン商品を生み出し、ナンバー ワン商品に磨き上げていく。そのために、お客さまの課題を解決することで対価を得る、サービス提案型の営業を強化していった。ポイントになったのは、スピーディー、低コストの実現、ウェブ管理。なかでもネット通販業のお客さまのニーズを先取りしたのが、前夜、インターネットで受注した商品を翌日配送する、トゥデイ ショッピング サービス。当時、責任者だった長尾ゆたか、のちのヤマトホールディングス社長は、「注文から配達完了までの所要時間を短くするという発想は、2008年当時、まださほど注目されていなかった」と語っている。ほかにも店頭と倉庫の在庫データを一元管理できる、ウェブ出荷コントロール サービス、 EC 展開をトータルで支援する、ネット スーパー サポート サービス、短時間で OA 機器などの修理完了を実現する、メンテナンス サポート サービスなどを開始した。これらはいずれも、ヤマトグループが培ってきたアイ ティ、情報技術。エル ティ、物流技術。エフ ティ、決済技術 を中心とした経営資源を活用し、グループ連携によって実現した物流イノベーションだ。

各事業フォーメーションの展開

ビズ ロジ事業では、お客さまの事業展開に応じて、調達、生産、販売、販促、マーケティング、アフター サービスなどの機能を組み合わせて提案し、企業物流のトータル コストを低減する仕組みをつくりあげていった。お客さまの荷物の保管から、ピッキング、流通加工、発送作業などに、24時間、365日対応可能な自動倉庫システム、オート ピック ファクトリーも、神奈川物流ターミナルなどで導入。スピードと生産性の高さで、お客さまの事業展開に貢献している。2011年には、江戸川区内に東京メディカル メンテナンス センターを開設し、医療関連分野へのサポートを強化した。第4章で触れた静脈物流は、修理、メンテナンスなども大きな柱になりつつある。

ホーム コンビニエンス事業は、引越を筆頭に、地域に根ざした生活全般のサービスを開発してきた。たっきゅうびんは玄関口までのお届けだが、同事業は、もう一歩、中にはいり、生活者に役立つサービスを提供する。ハウス クリーニングや、お部屋の整理収納をはじめとした、快適生活サポート サービスは、そのひとつだ。また、1997年からトイレット ペーパー、その翌年より、飲料水など、プライベート ブランド商品の製造販売も手がけてきた。

e ビジネス事業はグループの情報ネットワークやノウハウを活用し、たっきゅうびんの荷物追跡で培ったトレーシングや、パッケージ ソフト、セキュリティをキーワードに、クレジットカード業界の業務効率化、システム運用のアウトソーシング、通販事業向け、ワン ストップ ソリューション、システム ソリューションによる事業継続支援や、流通サプライ チェーンの効率化、ウェブ ソリューションなど多彩なサービスを展開している。

フィナンシャル事業はたっきゅうびんの代金引換を主に手がけてきたが、通販市場の拡大に伴い、 EC におけるクレジット カード決済や、イベントでの電子マネー端末レンタルなど、決済サービスのラインナップを拡大していった。

オートワークス事業はデリバリー事業から派生した後に大きく成長した事業だ。もとはヤマト グループの車両整備をおこなってきたが、対象を他の運送事業者まで広げ、車両が稼働しない時間に計画的に整備をすることで、稼働を止めないサービスを提供した。ユーザーの視点に立った計画整備が高く評価され、整備部門は利益を生む事業へと変貌を遂げた。

当時、ヤマト運輸社長を務め、事業化に携わったありとみ けいじは、「市場を絞り込んだ成功事例」と語った。2019年4月時点で、この整備工場のネットワークは、25カ所のスーパー ワークスを含め、全国71カ所に広がっている。

ビズ ロジ事業での医療用器械洗浄作業。2019年。

ホーム コンビニエンス事業の快適生活サポート サービスでのハウス クリーニング。2014年。

e ビジネス事業が展開する、システム運用アウトソーシング。

フィナンシャル事業でのマルチ電子マネー端末レンタル サービスの法人営業。2019年。

オートワークス事業が展開する、整備工場スーパー ワークス。2013年。

シンガポールでのたっきゅうびん開始の記者会見。中央が瀬戸薫 YHD 社長。2010年。

年表の はんれい

A. グループ連携にかかわる出来事。

B. 同時代の出来事。

平成17年、2005年A. レボリューション プラン 2007 新価、革新3か年計画、スタート
A. 純粋持株会社への移行に伴い、商号をヤマト運輸株式会社から、ヤマト ホールディングス株式会社に変更
平成18年、2006年A. たっきゅうびん店頭受取サービス、開始
A. ダイレクト マーケティング事業、開始
A. ジット ボックス チャーター便、発売
A. 機密文書リサイクル サービス、発売
A. 海外へ小口輸送をおこなう、国際たっきゅうびん、発売
平成19年、2007年A. クロネコヤマト リコール サポート サービス、発売
A. 個人会員制サービス、クロネコ メンバーズ、開始
B. 郵政民営化スタート
平成20年、2008年A. 満足創造3か年計画、スタート
A. クロネコあんしん決済サービス、発売
B. リーマン ショック発生
平成21年、2009年A. 日本オリンピック委員会とオフィシャル パートナーシップ契約締結
A. 国内利用航空運送事業者10社による共通配送商品、スパット、発売
平成22年、2010年A. シンガポール、上海においてたっきゅうびん事業、開始
A. 日本発 国際たっきゅうびん リニューアル、および、シンガポール、上海発、国際たっきゅうびん、発売
平成23年、2011年A. 香港において、たっきゅうびん事業、開始
A. 東日本大震災発生に伴い、被災地救援活動実施
A. ダントツ 3か年計画ホップ、スタート
A. マレーシアにおいてたっきゅうびん事業、開始
A. 鳥取県と共同で、山陰流通トリニティー センター、開設
B. 東日本大震災発生

4. バリュー ネットワーキング構想へ

アジア ネットワークの拡大

2008年、平成20年、ヤマト運輸に海外戦略拡大のための、グローバル ソリューション営業部を新設した。目的は、国際物流の対応力を強化し、課題解決を提案できる基盤を構築すること、たっきゅうびん事業を海外展開し、各地で面となったネットワークを結び拡大することだ。それ以前の2000年には、台湾で現地企業とライセンス契約を結び、たっきゅうびんサービスを展開していたが、その取り組みをアジア各地にも広げようと考えたのだ。2011年からの、ダントツ 3か年計画ホップでも、アジア ネットワークの拡大を基本戦略の一つとして掲げた。

2010年1月には、生活水準が向上する一方で、類似した物流サービスがないシンガポール、上海でたっきゅうびん事業を始めた。同年には、日本と台湾、シンガポール、上海を結ぶ国際たっきゅうびんもリニューアルしている。2011年2月には香港で、同年9月にはマレーシアでもたっきゅうびん事業を開始。マレーシアはインターネットの普及率が高く、通販需要を見込んでの参入だった。さらに2017年にはサイアム セメントグループとの合弁会社、 SCG Yamato Express が、タイでたっきゅうびん事業を開始した。

バリュー ネットワーキング構想の推進

2013年、ヤマトグループは、バリュー ネットワーキング構想を発表し、翌年からの、ダントツ 3か年計画ステップでも、基本戦略のひとつに定めた。

この背景には、日本国内で進む、労働力の減少、EC の急激な拡大、あらゆる業種業態に影響を及ぼす AI、デジタル技術の進化、物流のボーダレス化など、物流を取り巻く環境の大きな変化があった。

同構想は物流を、コストからバリュー、価値を生み出す手段へと進化させ、個人のお客さまだけでなく、法人のお客さまのビジネスシーンでの生産性や国際競争力向上の支援をめざしたものだ。これによって、ヤマト グループは、より広いお客さまの、物流の改革に取り組んでいくことになった。

当時のヤマト ホールディングス社長、きがわ まことは、同構想について次のように語った。「路線事業の開始、たっきゅうびん事業の開始に次ぐ、第3のイノベーションと位置づけている。これまでの物流の価値は、配達の品質、スピード、コストのどれかがニーズを満たしていればよしという、いわば足し算によってはかられてきた。しかし、今や、どれかが期待に応えられなければ、全てがマイナスになってしまう。その一方、どれかを改善すれば、全体の価値を大きく上げることもできる。つまり、それぞれを掛け算して得られる、物流価値の向上によって評価される時代になったのだ」。

同構想を実現するため、ヤマト グループは、企業発の物流を中心に、多彩な付加価値モデルの創出を加速していった。たとえば、荷物が増えても、品質やスピードは変わらず、コストも上がらないことを実現できる物流、アジアでニーズが顕在化しつつある、こぐち、たひんどの調達、納品、国際保冷、国際通販、お客さまの製品の流通加工など、クロス ボーダー ネットワークと、ヤマト グループがもつアイティ、エルティ、エフティの機能を融合させた、付加価値の高いビジネス モデルの創出をめざした。

こうした動きを支える新たな施設も生まれている。2013年、ヤマト グループ最大の物流ターミナルである、羽田クロノゲートが稼働を開始。陸海空の主要ターミナルから近い距離に位置し、通関、保税、出荷など、まさに国内と海外をスピーディーにつなぐ役割を担うほか、医療機器の洗浄やメンテナンス、製品部品の組み立てや修理など、スピードが求められる付加価値サービス提供の拠点としても機能し始めた。2015年には、沖縄グローバル ロジスティクス センター (サザン ゲート) を開所。24時間365日稼働の、止めない物流、および国際クールたっきゅうびんの拠点を担うとともに、化粧品の充填や包装、 アイ オー ティー機器のキッティングも手がけるようになった。

また、止めない物流を推進するため、関東、中部、関西という大消費地圏に、総合物流ターミナル、ゲートウェイを設置する、ゲートウェイ構想を推進。2013年に、厚木ゲートウェイ、2016年に、中部ゲートウェイを竣工、2017年に、関西ゲートウェイを開所し、それまでの都道府県単位で設置された全国約70のベース間での幹線輸送ではなく、ゲートウェイ間での多頻度幹線輸送とともに、作業の自動化を進め、グループ ネットワーク全体の最適化と、コストの低減をめざしている。

さらに、ヤマト ロジスティクスでは、物流を、バリューを生み出す手段へと変貌させる仕組みのひとつとして、独自の物流システム、フラップス、Free Rack Auto Pick System を開発した。可動型のラックを使用することで、倉庫の有効スペースを増やすとともに、入庫から出庫までの工程時間を圧縮し、生産性向上とコスト削減を実現。お客さまの物流拠点などにも導入された。

また、アジアを中心とした小口保冷配送サービスとして、2013年、特に日本発、香港向けの国際クールたっきゅうびんを発売し、それ以後も台湾、シンガポール、マレーシア、タイへと拡大していった。さらに、ヤマト グループの提案により、宅配をはじめとする関連企業、業界団体、有識者等が参画し、2017年に、英国規格協会によって、小口保冷配送サービスの国際規格、 PAS1018 が策定された。そのごも官民連携で PAS1018 の普及に取り組んでいる。

こうした一連の取り組みは、小口保冷配送サービスが、信頼されるインフラとして、アジアを中心とした海外で根付くうえで大きな一歩となった。

上海でのたっきゅうびん開始当時のたっきゅうびんセンターと集配 シャ。2010年。

香港でのたっきゅうびん。2015年。

マレーシアでのたっきゅうびん。2011年。

バリュー ネットワーキング構想について語る、きがわ まこと、 YHD 社長。2013年。

羽田クロノゲート内の前詰め搬送機。ボックスを機械に投入すると、荷物の積み下ろしぐちまで自動で移動。2013年。

羽田クロノゲートでの修理作業。2014年。

沖縄グローバル ロジスティクス センター (サザン ゲート)。2015年。

サザン ゲートでの充填作業。2016年。

関西ゲートウェイ。2017年。

中部ゲートウェイでのクロス ベルト ソータ。底面をスライドさせる仕分け方法で、従来の2倍の処理能力をもつ。

関西ゲートウェイでのスパイラル コンベア。上層階で流通加工した荷物を仕分けエリアに直結させ、作業時間を短縮。

厚木ゲートウェイでのフラップスを使った作業。

沖縄国際物流ハブで、航空保冷コンテナを貨物機に積み込む。

香港でのクールたっきゅうびんのお届け。2013年。

プロジェクト G で、くらしのサポート サービスを展開する東京、多摩ニュー タウンで集配作業中の SD 。2016年。

株主向け冊子で、カイカク 2019 フォー ネクスト 100 の概要について語る、ヤマウチ雅喜、 YHD 社長。2017年。

年表の はんれい

A. グループ連携にかかわる出来事。

B. 同時代の出来事。

平成24年、2012年A. 法人会員制サービス、ヤマト ビジネス メンバーズ、開始
A. 医療機器メーカー向け、トータル流通支援サービス、開始
A. たっきゅうびん受取場所選択サービス、開始
B. 東京スカイツリー、開業
平成25年、2013年A. バリュー ネットワーキング構想、発表
A. 厚木ゲート ウェイ、竣工
A. 羽田クロノゲート、竣工
A. 香港向け、国際クールたっきゅうびん、発売。世界で初めての国際小口保冷輸送。
平成26年、2014年A. ダントツ3か年計画ステップ、スタート
A. 快適生活サポート サービス、発売
B. 消費税、8パーセントに引き上げ
平成27年、2015年A. クロネコ メール便、廃止
A. たっきゅうびんコンパクト、ネコポス、クロネコ DM 便、発売
A. 東京オリンピック、パラリンピック競技大会組織委員会とオフィシャル パートナー契約締結
A. 沖縄グローバル ロジスティクス センター (サザン ゲート) 開所
平成28年、2016年A. フランスのネオ ポスト シッピング社と、合弁会社 Packcity Japan 株式会社、設立
A. オープン型宅配便ロッカー、プドー ステーション、設置開始
A. 中部ゲートウェイ、竣工
平成29年、2017年A. タイにおいてたっきゅうびん事業、開始
A. 小口保冷配送サービスに関する国際規格、PAS1018 認証取得
A. 中期経営計画、カイカク 2019 フォー ネクスト 100、スタート
A. たっきゅうびん基本運賃とスキーたっきゅうびん、ゴルフたっきゅうびん、スーツケースの規格改定
A. 関西ゲートウェイ、開所
平成30年、2018年A. らくうる カート、発売
A. クロネコ メンバーズと連携した ID 決済サービス、クロネコペイ、発売
平成31年、2019年
A. 東京グローバル ロジゲート、竣工
A. 日本で初めての、宅配に特化した小型商用 EV トラックを共同開発

5. 創業100周年を迎えて

地域密着、生涯生活支援インフラとして

ダントツ3か年計画ホップの基本戦略の中には、地域社会に密着した生涯生活支援プラットフォームの確立も掲げられている。地域生活に関わるニーズへの対応は、行政と連携した CSV 、共有価値創造の取り組みである、プロジェクト G へと展開していった。ヤマト グループは、たっきゅうびんの配達などを通じて、ひとりひとりと、フェイス トゥ フェイスの関係を構築してきた。このような実績を生かし、本業から離れた社会貢献活動ではなく、あくまで本業をとおして、サービスを提供しながら地域に貢献する CSV 活動を進め、社会的インフラ企業としての役割を果たすことをめざす。

新たな改革へ

2017年、平成29年9月、ヤマト グループは、新中期経営計画、カイカク 2019 フォー ネクスト 100 を発表した。これは、2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループが、次の100年も持続的に成長していくための経営基盤を強化することをめざしている。

その背景には、 EC 市場の急速な拡大や、労働需給のひっ迫などの大きな環境変化に、グループ体制の構築が追いつかず、第一線で働く社員に大きな負担をかける事態を招いたことがあった。そこで、働き方改革を経営の中心に、デリバリー事業の構造改革、非連続成長を実現するための収益、事業構造改革、持続的に成長していくための、グループ経営構造改革に取り組むこととなった。

働き方改革では、働きやすさと、働きがいを構築し、ヤマト グループの原点である全員経営を改めて実践する。デリバリー事業の構造改革ではたっきゅうびんネットワークの維持、発展とともに、その担い手である社員の健全な労働環境の整備を推進する。収益、事業構造改革ではバリュー ネットワーキング構想をさらに進化させ、各業界向けのプラットフォームの構築を進め、持続的に、付加価値の高いサービスを提供する事業構造を確立する。

こうした改革の指針をもとに、2017年には、お届け時間帯指定などのサービスの見直しや、27年ぶりのたっきゅうびん料金の値上げ、法人のお客さまの契約運賃の見直しなど、プライシングの適正化に取り組んだ。

ヤマト グループは、これからも変化を続けていく。かつておぐら まさおは、「変わるべきものと、変わるべからざるものがある」と語った。次の100年に向けて、変わるべからざるものをどのように守り、時代の変化に合わせて、どのような、変わるべきものを率先して変えていけるか。今後もその挑戦を続けていく。

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