第 8号
平成12年4月18日

郵政省の独占禁止法違反に関する公正取引委員会の結論について

ヤマト運輸株式会社(東京都・社長 有冨慶二)は、平成11年10月14日、公正取引委員会に対して「郵政大臣を違反被疑者とする独占禁止法第45条第一項に基づく申告」を行なっていましたが、平成12年4月13日審査結果 の通知書が届き、公正取引委員会の結論が出ましたので、下記の通りお知らせします。

1. 公正取引委員会の結論
調査の結果、独占禁止法に伴う措置はとらなかった。

2. 審査結果に関する口頭説明内容
当社の理解したところでは、公正取引委員会の見解は以下の通りです。
(1) 郵政省は郵便事業において、独占禁止法の事業者に該当し、独占禁止法の適用を受ける。
(2) 地域振興券、クレジットカード、ダイレクトメールなどが信書に該当しなければ、郵政省がこれらを民間運送事業者に取り扱わせないようにすることは、独占禁止法違反の問題になりうる。
(3) 信書の解釈について検討したが、地域振興券と商品券についてみても、郵政省が言っているほど実質的な差異はない。流通 性の有無で区別しているようだが、その理由も明瞭ではない。公正取引委員会では、これらを区分する基準が必ずしも明確でないと考えた。
(4) 信書の解釈については、郵政省が所管官庁であり、有権解釈権を持っているので、公正取引委員会としては、現時点においては「信書性の判断を行ない、独占禁止法の違反事件として取上げることは適当ではない」との結論に達した。
(5) 今回の件については、現状の法体系なり、状況から見ると直ちに独占禁止法違反という形では処理できない。ただ、競争政策上では公正取引委員会としても問題性を認識しているので、今後検討する。

3. 審査結果を受けて当社としての受け止め方および今後の対応

(1) 公正取引委員会がもっと踏み込んで信書判断をするものと期待していたが、今回のような結論も予想の範囲内と受け止めている。
(2) 今回の申告については、公正取引委員会は郵政省の行為は限りなく「クロ」に近いという心証を持ちながら、信書について郵政省の判断を前提にせざるをえない立場にあるため、独占禁止法による措置をとれなかったものと思われる。
(3) 改めて裁判所の判断を求めることも考えているが、当社が申告した目的は、公正な競争状況の確保であった。従って、郵政省の不公正な取引きの排除を求めたものである。現状は郵政当局による営業妨害などが沈静化したり、昨年郵政省が作成した「信書のしおり」が全国の郵便局から一斉に回収されているようだ。これらの実態の推移を見守っていきたいと考えている。
(4) 公正取引委員会としては、郵政事業への民間参入について競争政策の観点から関心を有しており、他部局で郵便事業への民間事業者の参入問題について政策的な検討をしていくということなので、今後その推移を注目していきたい。
(5) 今後、2003年の郵便事業への民間参入において、郵便事業を営む総務省が、民間参入の条件設定や、競争相手である民間事業者を監督するということは、公正競争上問題があり、中立的な機関を設置すべきだと思う。

以 上


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