社会課題解決ビジネス
推進体制
ヤマトグループは、サステナビリティ推進担当役員が部会長を務める地域コミュニティ部会を設置しています。地域コミュニティ部会では、社会課題解決ビジネスに資する取り組みの情報共有や社会課題解決ビジネス創出のための社内環境づくりの検討を行っています。
経済価値と社会価値の創出
ヤマトグループは、地域に根差した事業活動の強みを生かし、社会課題の解決に貢献していきます。アウトサイドイン・アプローチによる考えのもと、持続可能な社会の実現を目指し、地域のパートナーと協業や共創しています。私たちは、社会課題の解決を図ることで、社会価値と経済価値の創出をし、社会インパクトを提供します。今後、ヤマトグループの事業活動におけるリスクやビジネスチャンスを分析し、社会課題解決ビジネスのテーマを決定していきます。
ビジネスパートナーと取り組むSDGs
現場の第一線でお客さまと接しているのがセールスドライバーです。お客さまとコミュニケーションを取り、ヒアリング内容やお困りごとをセールスドライバーが携帯アプリに入力し、入力した情報が法人部門に連携される仕組みを導入しています。近年、世の中の社会課題への関心の高まりにより、ヤマトグループにおけるSDGsの取り組みや案件に関するお客さまからのお問い合わせが増えてきています。ヤマトグループではこのシステムを通じて、お客さまのお困りごとや課題に対する戦略を検討・立案し、社会課題解決に向けた提案活動を行っています。
事例:物流効率化による温室効果ガスの排出量削減支援
ヤマトグループはお客さまの物流プロセスの改革(スコープ3)に取り組むことでサプライチェーン排出量の削減に貢献するため、現状の温室効果ガス排出量把握のための算定・削減のための物流見直し・効果検証までワンストップのご提案で温室効果ガス削減に向けたプロセスを実行します。
詳しくは、「物流効率化による温室効果ガスの排出量削減支援」をご参照ください。
地方自治体や地域のパートナーとの取り組み
地域との連携協定
ヤマトグループは、地域の課題をともに解決するパートナーとなることを目指し、地方自治体や地域のパートナーと連携協定の締結や社会課題解決に資する取り組みを行っています。
自治体との協定数 | 取り組み案件数 | |
---|---|---|
見守り支援 | 194 | 49 |
買い物支援 | 14 | 14 |
産物支援 | 16 | 61 |
観光支援 | 14 | 43 |
イベント支援 | 5 | 43 |
災害支援 | 171 | 59 |
客貨混載 | 13 | 17 |
ふるさと納税 | 27 | 153 |
環境保全 | 2 | 7 |
医療 | 2 | 17 |
包括支援 | 166 | 40 |
その他地域支援 | 23 | 123 |
計 | 647 | 626 |
高齢者の見守り
ヤマト運輸は、2023年3月末時点、全国の自治体や関係機関と194件の見守りに関する協定を結んでいます。また、独居高齢者世帯の増加や地域の見守りを担う人手の不足といった社会課題を背景に、IoT電球を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」を提供しています。ご自宅のトイレや廊下などの電球をハローライト電球に交換するだけで離れたご家族を見守ることができます。個人のお客さまのご利用だけでなく、不動産価値の向上を目的とした不動産関連の企業さまのご利用や、複数の自治体で、高齢者向けの見守りサービス事業として導入していただいています。
2023年8月末現在、約10,000件のご利用をいただいています。
コミュニティ拠点を活用したくらしのサポート
ヤマトグループは、地域に暮らす人々のより安心・快適な生活の実現を目指し、2016年に東京都多摩市に「ネコサポステーション」をオープンし、その後、千葉県松戸市や神奈川県藤沢市、宮城県仙台市、広島県福山市、東京都町田市にも広げています。ネコサポステーションでは、地域情報の発信や交流イベント、様々な世代が繋がるコミュニティの場を提供し、家事・買物代行などの「暮らしのサポートサービス」などを提供することで、地域の皆さまの安心・快適な生活をサポートしています。
これらの取り組みを通じて、「街のコンシェルジュ」として、「誰もが住み慣れた街で安心して暮らし続けられる」環境の構築と地域社会の健全で持続的な発展に寄与することを目指します。
客貨混載
ヤマト運輸は、地域の自治体やバス会社と協力し、乗客と荷物を同時に運ぶ「客貨混載」を進めることで、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と、物流の効率化による地域住民の生活サービス向上に取り組んでいます。
地域のお客さま
過疎地域のバス路線網が維持され、安定的に路線バスを利用できるようになるため、病院やスーパーなど多様な施設へアクセスでき、生活基盤が安定します。セールスドライバーが地域に滞在する時間が増えることで、集荷締め切り時間が延長できるなど、宅急便のサービスもより便利にご利用いただけます。また、地域を走る車両の台数が削減されることで交通安全や環境への効果も期待されます。
バス会社
路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することで、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保することができ、生産性が向上します。
ヤマト運輸は、宮崎交通と自治体と連携して、「客貨混載」の取り組みを開始しました。この取り組みにより、セールスドライバーが村に滞在できる時間が増え、「配達時間を変更したい」などの要望にもきめ細かく応えることが可能になったり、配達の際に高齢者の買い物支援や見守りを行うなどのサービスが検討できたりしています。
また、2017年から保冷専用BOXを搭載した路線バスを導入し、地域特産の西米良サーモンを鮮度を保ったまま海外へスピーディーにお届けするなど、特産品の販路拡大にも貢献しています。
買い物支援による地域経済活性化
少子高齢化に伴い商圏人口が減少している地方部において、住む人々の生活や買い物環境を支えるために、ヤマト運輸の北海道内の奥尻営業所・北海道幌延営業所・常呂営業所・雄武営業所内に、(株)サッポロドラッグストアーさまのサテライト店舗を設置する実証実験に取り組んでいます。営業所内では、生活用品等をヤマト運輸の社員が販売代行を行っています。また、買い物困難者を支援する取り組みとして、2022年8月から奥尻営業所にある宅配集配車両を活用した移動販売専用車を運行しています。買い物困難者が居住する地区に(株)サッポロドラッグストアーさまの店舗で取り扱う商品を出張販売する実証実験を行っています。
持続的な医薬品輸送ネットワークの構築
高齢化、過疎化が進む地域では、医薬品流通ネットワークの維持が深刻な社会課題となりつつあります。特に中山間部ではコロナ禍でオンライン診療が普及しても、患者さんが処方薬の受け取り手段を確保できないといった新たな課題も顕在化しています。このような課題を解決するため、ヤマト運輸では、岡山県和気町とドローン輸送に関する協定を締結し、地域の医療機関が必要としている医療商材や個人宅までの処方薬などの輸送における無人航空機(ドローン)の経済的実現性を検証する実証実験を実施しました。