トップメッセージ

未来への投資と、変革の成果

将来を見据え「人」「拠点」への投資を継続しながらも、プライシング見直しやコスト適正化を着実に進め、中間期は増収増益。中長期視点での宅急便ネットワークの強靭化と、新たな物流拠点を活用した法人向けビジネスの拡大などで、持続的成長を目指します。

代表取締役社長
社長執行役員

長尾 裕

平素よりヤマトグループの経営にご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

2026年3月期の中間期は、物価上昇や個人消費の停滞が続く中、増収増益で着地しました。これは、法人のお客様への提供価値に応じたプライシングの見直しに加え、個人・小規模法人のお客様の宅急便利用が堅調だったこと、法人向けビジネスの拡大が進展したことなどによるものです。

一方で、物流の2024年問題やEC化の進展に伴う荷動きの変化など、私たちを取り巻く環境は厳しさを増しています。サービスの品質維持・向上のため、競争力の源泉であり、当社グループにとって最も重要な経営資源である「人」への投資を継続し、輸送ネットワーク全体の効率化と強靭化を進めています。

さて、今期は現中期経営計画の2年⽬です。初年度(2025年3⽉期)は⼀部計画通りに進まない点もありましたが、下期から増収増益に転じており、今中間期も宅急便ビジネスの収益性改善や法⼈向けビジネスの拡⼤など、取組みの成果が業績に表れ始めています。

この進捗を踏まえ、中期経営計画最終年度(2027年3月期)の営業利益計画を600億円に設定しました。これは、物価上昇や人的投資の影響を織り込みつつ、プライシングの見直しやコスト適正化など、現時点で見通せる施策を積み上げたものです。皆様に身近な宅急便ネットワークを強靭化するとともに、輸送拠点に在庫保管や物流加工の機能を組み合わせ新たな価値を提供する物流施設(統合型ビジネスソリューション拠点)を活用し、法人のお客様への提供価値を拡大していきます。また、私たちはこの数値計画を通過点と捉え、その先の本格的な成長も見据え、データ・ドリブン経営の推進やグリーン・モビリティの事業化にも取り組んでいきます。

ヤマトグループが担う物流は、社会インフラそのものです。持続可能な未来に貢献し続けるためには、短期的な市場動向だけに左右されるのではなく、中⻑期的な視点に⽴った経営が不可⽋です。

日頃から私たちのサービスをご利用いただき、経営理念に共感し長期的に応援してくださる株主の皆様の存在が、持続的成長の大きな支えです。今後も株主の皆様からのご期待に応えられるよう、事業成長と株主還元を着実に実行しつつ、当社の企業価値向上への取組みを皆様により深くご理解いただけるようなイベントの開催など、コミュニケーション施策の強化にも取り組んでまいります。

引き続き、ヤマトグループの変革にご期待いただき、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 社⻑執⾏役員
長尾 裕

決算ハイライト

営業収益

9,067 億円

前年同期差:

663億円

営業利益

37 億円

前年同期差:

112億円

経常利益

37 億円

前年同期差:

99億円

親会社株主に帰属する中間純利益

48 億円

前年同期差:

62億円

株主還元

当社は、グループ全体の企業価値を高めることを重要な経営目標としています。剰余金の配当は、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向の目標を、2024年3月期より従来の30%から40%以上に引き上げたうえで、安定的な配当の継続に努めています。また、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、自己株式の取得を柔軟に検討・実施しています。

なお、このたび当社は、日本経済新聞社が新たに算出・公表を開始した「日経平均株主還元株40指数」の構成銘柄に選定されました。この指数は、企業の配当金と自社株買いの金額に加えて、借入金返済額にも着目して財務の健全性も考慮したもので、日経平均株価を構成する日本を代表する企業(金融・不動産を除く)の中から、株主の皆様への利益還元に特に積極的な企業を選定するものです 。当社は、持続的成長に向けた戦略的投資(拠点戦略、DX推進等の成長投資および環境投資)を進めると同時に、安定的な配当に加え、機動的な自己株式取得を実行しており、この資本効率を意識した積極的な株主還元姿勢が評価されたものと受け止めています。今後も、持続的な企業価値の向上と、株主の皆様への利益還元に努めていきます。

現中期経営計画期間
(2025年3月期~2027年3月期)

株主還元方針

配当性向

40%以上

キャピタル・アロケーション

  • 当初掲げた株主還元1,000億円は完了予定
  • バランスシートを効率化して成長原資を創出しつつ、規律ある成長投資と株主還元に最適配分

特集

私たちの挑戦
〜未来のあたりまえを創る現場から〜

OUR
CHALLENGE

北海道奥尻島では、高齢化(約41%)と限られた交通手段により、時間的な「交通空白」が顕在化しています。この移動の課題を解決するため、奥尻町とヤマト運輸は、2025年8月29日より、客貨混載型の公共ライドシェア「島のりあい」の実証運行を開始しました。これは、ヤマト運輸のセールスドライバーが通常の集配業務の空き時間を利用し、集配用ワゴン車両で荷物と旅客を同時に輸送する仕組みです。離島における持続可能な移動支援の仕組みを構築し、島民や観光客の利便性向上を目指す取組みをご紹介します。

ライドシェア車両の「しまねこワゴン」
公共ライドシェアを担う車両です。
2026年度以降の本格運行に向けて、運賃設定や報酬水準、予約スキームなど、段階的にサービス構築を行っています。
移動困難な方への販売として「移動販売車」の運行を2022年8月より実施。
2023年には、冷蔵・冷凍品にも対応した移動販売車に刷新し、現在も稼働しています。
移動販売車の内装の様子。
多くの島民の皆様にご利用いただけるよう、チラシの作成や商品ラインアップの改良を行いました。

社員の声

日頃、宅急便の集配で奥尻島内全域を走る私たちセールスドライバーは、この島ならではの課題を肌で感じていました。高齢化が進み、お一人で暮らすお年寄りが多い地域では、「近くにお店が無く買い物ができない」「病院に行きたくても交通手段がない」といった切実な悩みがありました。

日常生活での困りごとや、将来への不安を語る島民の皆様との日々の会話から、「私たちにできることはないか」と考えるようになったのが、この取組みの原点です。

宅急便という既存のサービスを超え、ヤマトだからこそ生み出せる新たな価値があるのではないか。そう考え、仲間と意見を出し合い、今回の取組みをスタートさせました。

島民の方々からいただく「これで安心して暮らしていける」「困った時は電話するね」「ありがとう」という言葉ほど、私にとって嬉しいものはありません。

もちろん、島民の皆様、行政、そしてヤマトにとっても課題はまだ多くあります。しかし、私たちにしかできないことがあるという気概を持ち、今後も「創意工夫」を重ねながら想いをカタチにし、島民の皆様の笑顔があふれる奥尻島を目指していきます。

ご利用者様の声

  • 今までは島外から船で帰っても自宅まで帰る手段が無く困っていましたが、ヤマトさんのおかげでこれからはどこに行くにも安心して移動が出来ます。
  • 去年、免許を返納して今後が不安でしたが、これで安心して暮らせます。
  • 空港まで行く際は知人にお願いしていましたが、どうしても気が引けて申し訳ないと思っていました。これからは安心して利用させてもらいます。

音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」

ヤマトグループは、豊かな地域づくりがヤマトグループの成長と発展の基盤であると考え、地域に根差した企業市民活動に取り組むとともに、事業を通じて地域課題の解決に貢献する取組みを推進しています。

音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」は、1986年(昭和61年)、本物の音楽に触れる機会の少ない地域の子どもたちに、一流のクラシック音楽を届けたいという想いから誕生しました。以来、お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて活動を積み重ね、日本全国で367回の公演を開催し、延べ約60万人の皆様にご参加いただいております。

今後も「本物の、いい音楽を年齢や地域を超えてすべての人にお届けしたい」というコンセプトを大切にしつつ、長期ビジョンである「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、この活動をさらに発展させていきます。

東京公演の様子
プロのオーケストラによる迫力のある演奏に、子供から大人まで魅了されました。
プログラム後半の様子
演奏に合わせてダンスを行うなど、会場が一体感に包まれました。
お子様は楽器を持参してステージへ
オーケストラの一員として、一緒に団員になった瞬間です。

この活動を株主の皆様にもご理解いただき、より一層応援いただきたく、第160期株主通信のご案内を通じて本年の公演に株主様をご招待いたしました。多くのご応募をいただき、誠にありがとうございました。ご参加いただいた株主様の声を、ご応募の際にいただいた貴重なご意見とあわせて、以下にご紹介いたします。

音楽宅急便 株主様ご招待レポート

ご参加いただいた株主様より寄せられたコメントの一部をご紹介いたします。

  • クオリティの高さ/楽しさにびっくりしました。
  • オーケストラの生演奏の迫力と音響の良いホールでの鑑賞は、至福の時間でした。
  • 子供の泣き声も、BGMの一つとして聞ける、そんな温かい雰囲気でした。
  • 子ども達が持参した楽器でオーケストラと共演したり、曲に合わせて体を動かすなど、参加型のコンサートだったことも良かったと思います。
  • こうした企画が長年続いている企業を誇りに感じます。同伴した友人も感激していました。
  • 荷物を届けることは心を届けることなのだ、というメッセージを発信していると思います。加えて、交通遺児への支援も素晴らしいと感じました。
  • 以前、小倉昌男氏の著書を読み、経営理念やスワンベーカリーのことに共感し、株主として参画させていただいています。今回のような機会に参加でき、感謝いたします。
ご参加いただいた株主のみなさま
皆様の「声」を、「次の一手」に。(Q&A)
Q

招待する株主数を増やしてほしい。

A

今回、多数の株主様よりご応募いただいたこと、またご参加いただいた株主様からの声を踏まえ、株主様の招待枠を拡大する方針のもと、来年度の企画を準備しています。今後ともご期待ください。

Q

私の住んでいる地域でも開催してほしい。

A

「本物の、いい音楽を年齢や地域を超えてすべての人にお届けしたい」というコンセプトのもと、全国各地域で開催しています。いつの日か、あなたの街にもコンサートをお届けできましたら、当社としても嬉しく存じます。

Q

音楽宅急便のみならず物流センター見学会などの企画で、ヤマトグループへの親近感と理解を深める活動を充実させて欲しい。

A

ご要望を踏まえ、今回、物流施設を見学できる2種類の株主様イベントをご用意しました。「物流施設の内側・実際の現場を見学したい」「地域の経営や事業を担う社員の声を聞きたい」という熱いご要望に応える「施設見学会+対話会」。「子供や孫と一緒に物流施設を見学したい」という多くのリクエストを踏まえた「羽田クロノゲート&関西ゲートウェイ見学コースご招待」。是非、ご興味あるイベントにご応募ください。

Q

今後とも活動内容の説明やイベントなど、株主に向けた取組みを強化してほしい。

A

より多くの皆様に、当社の経営理念に共感いただき、当社株式を長期にわたって保有いただきたいと考えています。つきましては、今後のIR活動の強化に向けて、株主様アンケートを実施いたします。是非、株主様のお声をお聞かせください。

株主様限定イベントへのご招待

株主の皆様に当社グループへのご理解をより一層深めていただきたく、今回2つの特別な株主様ご招待企画をご用意いたしました。

施設見学会+対話会

普段はご覧いただくことができない総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」内部にて、宅急便の集配拠点や法人顧客に付加価値を提供するロジスティクスセンターなどの見学会、およびそこで働く社員との対話会を開催します。物流施設の「裏側」を見学し、社員の「生の声」を聞くことができる、特別な機会です。

開催時期:

2026年2月、3月(各1回/計2回)

開催場所:

羽田クロノゲート(東京都大田区)

応募期間:

2025年12月10日(水)~2025年12月31日(水)

羽田クロノゲート/関西ゲートウェイ見学コースご招待

当社の革新的な総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」と「関西ゲートウェイ」の見学コースに、株主様限定の特別招待枠をご用意いたしました。お友達やご家族と同伴にてご参加いただけます。

開催時期:

2026年2月、3月、4月(各1回/計6回)

開催場所:

羽田クロノゲート(東京都大田区)
関西ゲートウェイ(大阪府茨木市)

応募期間:

2025年12月10日(水)~2025年12月31日(水)

株主様アンケート

日頃より応援してくださる株主の皆様は、当社の持続的成長を支える大切な存在です。 この度、皆様とのコミュニケーションをより充実させ、今後の活動をより良いものにしていくため、アンケートを実施いたします。

頂戴したご意見は、今後の経営やIR活動の貴重な参考とさせていただきます。 ご協力への感謝を込め、ご回答いただいた株主様の中から抽選で500名様に、クロネコグッズを進呈いたします。以下のボタンより、アンケート回答フォームにお進みください

別のURLページに遷移します。株主様アンケートの回答フォームは、株主様限定イベントの応募フォームを兼ねております。イベントに応募されない場合、その旨を選択したうえで、アンケート部分にご回答ください。

応募期間:

2025年12月10日(水)~2025年12月31日(水)

バックナンバー

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