労働慣行

推進体制

ヤマトグループは、結社の自由、団結権、団体交渉権を社員の権利として容認しており、労働組合との労働協約を締結し、社員代表と経営層との労使協議や委員会を開催、賃金・一時金や労働安全衛生の協議に加え、諸制度の改善や、経営環境に関する定期的な意見交換を重ねながら労使の対話を進めています。
また、給与や労働時間等の労働基準においては、各国の法令順守を徹底するとともに、より良い労働環境の整備のため、一定の生活水準の維持が可能な生活賃金・一時金の支払いを実施しています。
ヤマトグループは、持続的に事業活動を進める上で、事業を行う国や地域の発展に寄与し、良好な関係を築くことが重要だと考えています。各国・地域の拠点においては、ローカルの人材雇用に注力しており、地域特有の文化や現状を踏まえた経営を推進しています。
ヤマトグループは今後も、より良い労働慣行の在り方を追求し、ディーセント・ワークの達成に貢献していきます。

荷物を積み替える様子

労働時間の削減に関する方針

ヤマトグループ人権方針に基づき、「過重労働」を重要と考える人権課題と認識し、長時間労働の抑制や有給休暇取得の推進を通じて、労働時間の削減に取り組んでいます。

ディーセント・ワークに向けた施策

「全員経営」
それは、社員一人ひとりが、お客さまの立場で考え、自ら判断して動き、それらが結集してヤマトグループの力となる、というヤマトグループが脈々と受け継いできたDNAです。そして、「全員経営」の実現には社員がいきいきと働ける職場環境が大前提であり、そのような環境づくりは経営の最重要課題だと考えています。
長時間労働の防止策として、ヤマト運輸における労働時間管理ルールの見直し・入退館データのデジタル化や、主管支店の再編成などを行いました。他にも、職場環境の整備や、労働日数・時間選択制度の導入、サービス内容の見直しなど、社員一人ひとりの生活を考慮した「働きやすさ」を追求してきました。
また、社内コミュニケーションの活性化として、第一線の社員の声や業務改善の提案などを社長や役員に直接伝えることのできる、社員とのパネルディスカッションを実施しました。併せて、無期転換ルールの新設、人事制度や評価制度の見直し、福利厚生の充実なども行い、社員が「働きがい、働く喜び」を日々感じられるための施策に取り組んできました。
そして、次の100年に向けて、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」では「労働」を重要課題の1つに掲げ、2030年までにディーセント・ワークの達成に貢献することを目指しています。2021年1月に発表した「サステナブル中期計画2023」では、労働の高付加価値モデルの実現やディーセント・ワークを推進することを目標に、同一労働同一賃金に向けた施策や社員が働きやすい職場環境の整備を行っていきます。これからも、社員が働きやすく誇りを感じられる労働環境を構築していきます。

TOPICS

eコマース市場の急速な拡大や、労働需給の逼迫など、大きな環境変化に直面する中で、物流機能を安定化することは社会全体の大きな課題です。
そこで、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化、女性や60代の運転者等も働きやすいより「ホワイト」な労働環境の実現を目的として、国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流推進運動」が立ち上がりました。
ヤマト運輸は、物流に関わる企業等のイニシアチブである「ホワイト物流推進運動」に賛同し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善に取り組んでいます。

「ホワイト物流」推進運動のロゴ
荷物を運ぶトラック

コールセンターのテレワーク勤務制度の実施

新型コロナウイルス感染症の感染リスク低減や多様な働き方の実現を目的に、コールセンターのテレワーク勤務を可能にしました。自宅やサテライトオフィス等でも勤務が可能となり、働く場所や時間の選択肢が広がりました。
より多くの方に快適に働いていただくため、社員だけではなくパートタイマーの方にもテレワーク勤務制度を提供しています。柔軟な働き方により、ワークライフバランスの実現を目指します。

育児・介護と仕事の両立支援

ヤマトグループは、2018年に育児・介護に関する意識・実態調査を実施し、社員の働きやすさ向上のために、育児や介護に直面する社員に対する、グループ横断の支援制度や施策の検討・整備を進めています。

主なグループ会社では、育児短時間勤務は「こどもが小学校6年生終了時」まで、介護休業は「上限365日」と、いずれも法定期間を上回る期間取得できるようにし、社員のワーク・ライフ・バランスをサポートしています。
ヤマト運輸はこれに加え、2018年9月から、育児・介護の事由がある社員に対して週の労働日数を3日または4日から選択可能とするなど、より制度を利用しやすい環境整備に各社で取り組んでいます。
育児・介護中の社員やその上司にむけて両立支援のためのハンドブックを作成し、社内イントラサイトからダウンロードできるようにしています。また、テレワーク勤務制度やフレックスタイム制度の導入を行っています。多様なワークスタイルの実現や業務の効率化および生産性の向上を目的とし、テレワーク勤務制度の対象をパートタイマーにも拡大しています。育児や介護について話しやすい雰囲気が職場や上司にあるかどうかは、仕事との両立に向き合う社員の就業継続に大きな影響を与えます。男性育休取得者も増加傾向にあるため、職場や上司の理解につながる施策の検討および両立支援制度の定期的な周知を継続していきます。

育児・介護の支援制度(ヤマト運輸の例)

育児休業
  • 配偶者も育児休業を取得の時は、こどもが1歳2カ月を迎えるまで取得できる
  • 事情によって2歳の誕生日の前日まで延長可能
    ※夫婦ともに2回まで分割で取得可能
    ※1歳以降延長の場合に夫婦で途中交代可能
出生時育児休業
  • こどもの出生後、8週間以内に最長4週間(28日間)が取得できる
  • 申し出に関するこどもについて2回に分割可能
こどもの看護休暇
  • 就学前のこどもについて1人であれば年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できる
育児短時間勤務
  • こどもが小学校6年生終了まで申請の上で取得できる
  • 週の労働日数を3日・4日・5日から選択可能、かつ1日の労働時間を4時間・5時間・6時間・7時間・8時間の勤務から選択可能
  • 申し出に関するこどもについて2回まで取得可能
介護休業
  • 対象家族1人につき、通算365日を上限として取得できる
介護休暇
  • 要介護状態の家族が1人であれば年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できる
介護短時間勤務
  • 対象家族1人につき、最長4年間取得できる
  • 週の労働日数を3日・4日から選択可能、かつ1日の労働時間を4時間・5時間・6時間・7時間・8時間の勤務から選択可能
  • 適用期間延長
    ※一定基準を満たした場合は事由解消時までの適用期間が延長可能

育児・介護休業および短時間勤務取得者数

このような取り組みの結果、次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省より「子育て支援に取り組む企業」として、ヤマトシステム開発が「プラチナくるみん認定」を取得しています。(2023年3月時点)

社員との対話/満足度の向上

社員の「働きがい」を高めるため、グループ全体で様々な施策を実施しています。

社員意識調査

ヤマトグループは、グループ全体の社員を対象に、働き方改革・エンゲージメントに関する意識調査を行い、現状の把握と改善を図っています。2022年度の調査では、各指標が下降する結果となった中、当社グループでは、「働きがい」の向上を優先して改善すべき課題と位置づけています。「働きがい」と相関関係が強い項目を高めるべく、2022年10月から2023年3月にかけて、ヤマト運輸の全主管支店で営業所長と経営層が互いに意見を交わし、お客さまと社員に直接向き合うことへの思いと価値観を共有し、働きがいのある職場の実現につなげることを目的とした「職場ディスカッション」を実施するなど、円滑なコミュニケーションによる相互理解の促進や多様な考え方・価値観を尊重しあえる職場づくりに取り組んでいます。引き続き、調査結果に基づく課題の設定と対策に取り組むことで、社員が「働きやすさ」と「働きがい」をもって、いきいきと働くことができる職場環境の整備を推進していきます。

社員意識調査結果

ヤマト運輸:業績表彰制度

ヤマト運輸は、毎年度上期と下期の2回、対象期間内に成果を出した任意の成功事例を事業所やプロジェクト単位で表彰する業績表彰制度を設けています。「『目的』と『取り組み』と『成果』の間に明確な因果関係がある」などの評価基準で選考し、特に優れたグループには「社長賞」が授与されます。
2022年度は、126件のエントリーがあり、そのうち15件に社長賞が授与されました。また、半年間を通じて交通事故・労災事故・作業事故・クレームの発生件数ゼロ、加えてお褒め件数が1件以上を達成した営業所103店には「優秀事業所賞」が贈られました。
社員一人ひとりの改善・改革に対する意識が高まり、第一線で様々な取り組みが行われた結果、エントリー数や受賞数は年々増加しています。

ヤマト運輸:提案制度「クロネコたまご」

「クロネコたまご」は、ヤマト運輸のすべての社員が業務改善や新商品・サービスに関する提案をすることができる制度です。自分が提案するだけでなく、他の社員の提案に対して、投票・意見を行うこともできます。寄せられた提案・意見のうち、実現に向けて検討する提案に「ヒント賞」を授与しています。
2022年度は、応募数が320件、ヒント賞は15件でした。