労働慣行
推進体制
EX推進委員会
ヤマトグループは、社員の仕事に対する誇りや、働きがいの向上、ダイバーシティの推進に向けた協議を行い、これを実行する委員会をグループ各社に設置しています。
ヤマト運輸(株)では、人事部門の管掌役員を委員長、本社部長や労働組合の代表者を委員としたEX推進委員会を月次開催し、社員意識調査に加え、各部門が収集した社員の声を起点とした「取り組みテーマ」を決め、仮説に基づく具体的施策をおこなうことで、総和として働きがいの向上を目指す取り組みをおこなっています。

労使関係
ヤマトグループは、結社の自由、団結権、団体交渉権を労働者の権利として容認し、労働組合と労働協約を締結しています。
ヤマト運輸(株)においては全従業員のうち、約半数を占める労働組合員との間で、諸制度の改善や経営環境に関して必要都度労使間の対話を進めています。
労働時間の削減に関する取り組み
ヤマトグループ人権方針に基づき、「過重労働」を重要な人権課題と認識し、長時間労働の抑制や有給休暇取得の推進に取り組んでいます。
計画労働時間
ヤマト運輸(株)は、長時間労働の抑制とワーク・ライフ・バランス実現のため労使で年間の計画労働時間を設定しています。
毎月、主管支店ごとに労使参加で開催される会議で進捗確認を行い、労働時間の突出者が発生した場合は最優先事項として改善策を講じることで年間計画労働時間の遵守を徹底しています。
勤務間インターバル制度
ヤマト運輸(株)は、社員が必ず一定の休息が取れるよう、勤務終了後、翌日の出社までの間に11時間以上の休息時間(インターバル)の確保に努めています。
年次有給休暇の取得促進
ヤマト運輸は(株)、計画年休、1週間の連続休暇、記念日休暇などで年次有給休暇の計画的な取得を推進し、個人の付与日数に対して90%以上の取得率を目指しています。
ディーセント・ワークに向けた取り組み
「全員経営」
それは、社員一人ひとりが、お客さまの立場で考え、自ら判断して動き、それらが結集してヤマトグループの力となる、というヤマトグループが脈々と受け継いできたDNAです。そして、「全員経営」の実現には社員がいきいきと働ける職場環境が大前提であり、そのような環境づくりは経営の最重要課題だと考えています。
経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」では、「労働」を重要課題の1つに掲げ、2030年までにディーセント・ワークの達成に貢献することを目指しています。2023年2月に発表したヤマトグループ中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」では、多様な社員の働きやすさと働きがいのさらなる向上のため、社員のライフプランに適合する福利厚生制度体系の構築や人権デューデリジェンス、ダイバーシティの推進、女性活躍の推進に向けた取り組みを継続し、これからも社員が働きやすく誇りを感じられる労働環境を構築していきます。
公正で平等な処遇
生活賃金の支払い
給与や労働時間などの労働基準においては、各国の法令順守を徹底しています。法定最低賃金の順守にとどまらず、食費、住居費、被服費など一定以上の生活水準の維持が可能な生活賃金・一時金の支払いを実施しています。
職務定義に基づく人事施策
ヤマトグループは、社員に求める各ポジションの具体的な仕事内容、責任範囲、知識、スキルなどを845の職務定義書に記しています。役割や職務内容別の職務定義書は社員一人ひとりに明示し、実施すべきことを確実に実施した社員が評価される仕組みを構築することで、社員の納得感・公平感を高め、働きがいの向上につなげています。
男女同一賃金
ヤマトグループは、性別に関わらない公平な賃金の支払いに努めており、性別による賃金格差(ジェンダー・ペイ・ギャップ)の解消を目指しています。男女賃金差異の主たる要因である、女性の役職登用率の向上に向けて、管理者を目指す女性社員を対象とした育成プログラム実施や柔軟な働き方の整備(テレワーク・フレックスタイム)、社内報への掲載などロールモデルの可視化など取り組んでいます。
ローカル人材の活用
ヤマトグループは、持続的に事業活動を進める上で、事業を行う国や地域の発展に寄与し、良好な関係を築くことが重要だと考えています。各国・地域の拠点においては、ローカルの人材雇用に注力しており、地域特有の文化や現状を踏まえた経営を推進しています。
多様な働き方
ヤマトグループは、多様なワークスタイルの実現や業務の効率化および生産性の向上を目的に、テレワーク勤務制度やフレックスタイム制度、短時間勤務制度などを導入しています。事業特性などを踏まえて出社・在宅勤務・サテライトオフィス勤務などを組み合わせることで、組織と社員個人が最も力を発揮できる働き方の実現を目指します。
コールセンター勤務など業務特性上の制約がある部署や、パートタイム社員に対しても仕組みを導入し、対象となる社員層を拡大しています。
育児・介護と仕事の両立支援
ヤマトグループは、2018年に育児・介護に関する意識・実態調査を実施し、社員の働きやすさ向上のために、育児や介護に直面する社員に対する、グループ横断の支援制度や施策の検討・整備を進めています。
主なグループ会社では、育児短時間勤務は「こどもが小学校6年生終了時」まで、介護休業は「上限365日」と、いずれも法定期間を上回る期間取得できます。
ヤマト運輸(株)はこれに加え、育児・介護の事由がある社員に対して週の労働日数を3日または4日から選択可能としています。グループ各社において、より制度を利用しやすい環境整備に取り組み、社員のワーク・ライフ・バランスをサポートしています。また、育児・介護中の社員やその上司にむけて両立支援のためのハンドブックを作成し、社内イントラサイトからダウンロードできるようにしています。育児や介護について話しやすい雰囲気が職場や上司にあるかどうかは、仕事との両立に向き合う社員の就業継続に大きな影響を与えます。男性育休取得者も増加傾向にあるため、職場や上司の理解につながる施策の検討および両立支援制度の定期的な周知を継続していきます。
育児・介護の支援制度(ヤマト運輸(株)の例)
| 育児休業 |
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|---|---|
| 出生時育児休業 |
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| こどもの看護休暇 |
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| 育児短時間勤務 |
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| 介護休業 |
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| 介護休暇 |
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| 介護短時間勤務 |
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ヤマトグループは、仕事と介護の両立を支援するため、社員やその家族が利用できる「介護の24時間相談窓口」を設置しています。保健師、介護士、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネージャー、弁護士等、100名以上の専門家が在籍し、公的制度の基礎知識、実際、介護に直面した場合に必要な知識(介護保険の仕組み、介護サービス)、地域に即した情報の案内(介護施設、介護グッズ購入先、リース先等)、法律や金融関係の相談(弁護士、社労士、税理士との3者通話)について、無料で相談を受け付けています。
このような取り組みの結果、次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省より「子育て支援に取り組む企業」として、ヤマトシステム開発(株)が「プラチナくるみん認定」、ヤマトコンタクトサービス(株)が「くるみん認定」を取得しています。(2025年3月時点)
スタンバイ勤務制度
ヤマト運輸(株)は、イレギュラーが発生した場合に対応できるセールスドライバーを当番制で待機させる「スタンバイ勤務制度」を導入しています。
これにより急な休日出勤などを防止するとともに、体調不調や家庭の事情など、緊急時に休める環境を整備することで、社員と家族にとって安心感のある労働環境を構築しています。
従業員持株会制度
ヤマトグループは、社員(フルタイム・パートタイム)が少額からでも継続的に資金を拠出し、ヤマトホールディングス(株)の株式を取得できる持株会制度「ヤマトグループ社員持株会」を導入しています。これは、社員の長期的な資産形成を支援する福利厚生制度のひとつとして約50年の歴史があり、多くの社員が利用しています。
社員との対話/満足度の向上
社員の「働きがい」を高めるため、グループ全体で様々な施策を実施しています。
社員意識調査
ヤマトグループは、グループ全体の社員を対象に、働き方改革・エンゲージメントに関する意識調査を行い、現状の把握と改善を図っています。社員意識調査の結果については、ESGに関するデータ類をご参照ください。
2024年度の調査では、「働きがい」は僅かに下降したものの、その他の各指標が前年から上昇する結果となりました。当社グループでは、「働きがい」の向上を優先して改善すべき課題と位置づけています。
ヤマト運輸(株)では、「働きがい」と相関関係が強い「上司のマネジメント力」を高めるべく、全主管支店で営業所長と経営層が互いに意見を交わし、営業所長がお客さまや社員と直接向き合うことへの思いと価値観を共有する「役職者ディスカッション」を2023年度より半期毎に実施しています。加えて、2024年度からは経営層と各職場代表の社員が対話による相互理解を深めための「社員ディスカッション」を実施するなど、円滑なコミュニケーションによる相互理解の促進や多様な考え方・価値観を尊重しあえる心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでいます。引き続き、調査結果に基づく課題の設定と対策に取り組むことで、社員が「働きやすさ」と「働きがい」をもって、いきいきと働くことができる職場環境の整備を推進していきます。
提案制度「クロネコたまご」
「クロネコたまご」は、ヤマト運輸(株)のすべての社員が業務改善や新商品・サービスに関する提案をすることができる制度です。自分が提案するだけでなく、他の社員の提案に対して、投票・意見を行うこともできます。寄せられた提案・意見のうち、実現に向けて検討する提案に「ヒント賞」を授与しています。
2024年度は、応募数は367件、ヒント賞は55件でした。


