事業報告書(株主通信)

第160期 事業のご報告

トップメッセージ

代表取締役社長
社長執行役員

長尾 裕

持続可能な企業グループへ向けて

株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申しあげます。

ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030~1st Stage~」に基づき、
宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大による基盤領域の利益成長、法人ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデルの事業化、およびグループ経営基盤の強化など、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。

宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大においては、宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシングの適正化を推進するとともに、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境の整備や輸送効率の改善などを推進しています。

また、基盤領域である宅急便ビジネスを起点に、サプライチェーン全体に拡がる法人顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置づけ、国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値を提供することで、法人ビジネス領域の利益成長を目指しています。なお、自律的な成長施策に加え、事業拡大を加速させるため、2025年3月期に、株式会社ナカノ商会を連結子会社とするM&Aを実施しています。

そして、持続可能な未来の実現に向けて、EV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用して、車両を使用する事業者の脱炭素化に向けた取組みや運送事業者の健康管理と重症化予防に向けたオンライン医療サービスの提供など、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて、経済価値を生み出してまいります。

引き続き、事業ポートフォリオの変革とバランスシート・マネジメントの強化を推進することで、さらなる利益成長および資本収益性の改善を図り、企業価値向上を実現してまいります。

株主の皆様におかれましては、なお一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。

決算ハイライト

(単位:億円)
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減 伸率
営業収益 17,586 17,626 40 0.2
営業利益 400 142 258 64.5
経常利益 404 195 208 51.6
親会社株主に帰属
する当期純利益
376 379 3 0.8

詳しくはこちらから
(クリックすると関連ページに移動します)

ヤマトグループの目指す姿

2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間と位置づけ、取り組みを推進していきます。

ニューストピックス

もっとわかる
ヤマトグループ

ヤマトエナジーマネジメント株式会社の設立について

ヤマトグループは、2050年温室効果ガス(GHG)⾃社排出量実質ゼロおよび2030年GHG⾃社排出量48%削減(2020年度⽐)の達成に向け、EVや太陽光発電設備の導⼊、再エネ電⼒使⽤率の向上などを推進するとともに、使用電力の可視化・電力制御を行うヤマト運輸独⾃のエネルギーマネジメントシステムを開発・導⼊し、当社事業に最適な電⼒需給管理を進めています。
 その中で環境性と経済性を両立した最適な電力を提供するため、2025年1月にヤマトエナジーマネジメント株式会社を設立いたしました。同社はヤマトグループの拠点や地域の発電事業者が発電した再エネ電⼒などを、物流企業をはじめとした地域の事業者に提供します。これにより、地域社会とともに歩みながら物流の脱炭素化を推進し、企業と社会がともに発展する未来をつくってまいります。

ヤマトエナジーマネジメント株式会社の設立について紹介する図

株式会社MY MEDICA(マイメディカ)の設立について

自動車運送事業者は、他業種と比べて労働時間が長く、年齢層も50歳以上が約半数を占める※1など、健康リスクが高い傾向にあります。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は自覚症状がないため、未治療や治療を中断したまま重症化してしまうリスクがあります。2021年6月から、健康診断未受診の運転者による健康起因事故が行政処分対象になる※2など、自動車運送事業者の従業員の健康管理は重要な経営課題となっています。
ヤマト運輸株式会社とアルフレッサは、2019年に医薬品流通研究会を立ち上げ、医薬品の新たな流通ネットワークの構築に取り組んできました。その中で、生活者がライフスタイルにあわせて医療を受けやすい環境を構築することが、未治療者および治療中断者の早期治療や重症化予防に有益な打ち手になり得ると考え、オンライン医療サービスの開発に至りました。
このたび、ヤマトHDとアルフレッサは、「株式会社MY MEDICA」を設立し、自動車運送事業者を対象に、従業員の健康管理と重症化予防を行うサービス「MY MEDICA」の提供を2025年2月7日(金)から開始しました。

POINT 院外処方による服薬指導までをシームレスに10分で体験できるサービス「最短10で診療と服薬指導は受けられる」 POINT1 アプリから診察予約 STEP2 オンライン診察 STEP3 薬剤師による服薬指導 STEP4 自宅や職場におくすりをお届け STEP5 費用が後日アプリからお知らせ

音楽宅急便2025「クロネコ ファミリーコンサート」を開催します

ヤマトグループは、豊かな地域づくりが当社の成長と発展の基盤であると考え、企業市民活動に取り組んでいます。
お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて、年齢や地域の枠を超えたすべての皆様へ本物の音楽をお届けする音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」は、40年目を迎えました。
当社の活動を株主の皆様にもご理解いただき、より一層応援いただきたく、本年のコンサートに株主様をご招待いたします。
この機会にぜひご応募ください。
※株主様専用の応募方法の詳細は、定時株主総会決議通知(6月20日発送)に同封のご案内をご覧ください。

公演名 日時 会場 オーケストラ
大田原公演 7/29(火)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
那須野が原ハーモニーホール 大ホール
栃木県 大田原市本町1-2703-6
東京交響楽団
青森公演 7/31(木)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
リンクステーションホール青森
(青森市文化会館) 大ホール
青森県青森市堤町1-4-1
仙台フィルハーモニー管弦楽団
旭川公演 8/5(火)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
旭川市民文化会館 大ホール
北海道旭川市7条通9丁目
札幌交響楽団
宇治公演 8/7(木)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
宇治市文化会館 大ホール
京都府宇治市折居台1丁目1番地
大阪フィルハーモニー交響楽団
熊本公演 8/21(木)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
熊本県立劇場 コンサートホール
熊本県熊本市中央区大江2-7-1
九州交響楽団
東京公演 8/25(月)
開場17:45
開演18:30/終演20:30
すみだトリフォニーホール 大ホール
東京都墨田区錦糸1-2-3
東京交響楽団

音楽宅急便 特設サイト

各公演内容の詳細は特設サイトをご覧ください

連結財務諸表(要旨)

連結損益計算書
(単位:百万円)
前連結
会計年度
2023年4月1日〜
2024年3月31日
当連結
会計年度
2024年4月1日〜
2025年3月31日
営業収益 1,758,626 1,762,696
営業原価 1,664,317 1,692,669
営業総利益 94,308 70,026
販売費及び一般管理費 54,249 55,820
営業利益 40,059 14,206
営業外収益 4,640 8,196
営業外費用 4,241 2,814
経常利益 40,458 19,587
特別利益 16,110 38,596
特別損失 4,865 3,392
税金等調整前当期純利益 51,704 54,791
法人税等 13,864 16,435
当期純利益 37,840 38,355
非支配株主に帰属する当期純利益 213 417
親会社株主に帰属する当期純利益 37,626 37,937
  1. 営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどにより、前連結会計年度に比べ40億69百万円増加し1兆7,626億96百万円となりました。

  2. 営業利益は、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより営業費用が増加した結果、前連結会計年度に比べ258億53百万円減少し142億6百万円となりました。

  3. 親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ3億11百万円増加し379億37百万円となりました。

  • 営業収益
  • 営業利益/営業利益率
  • 親会社株主に帰属する当期純利益/ROE(自己資本当期純利益率)
連結貸借対照表
(単位:百万円)
前連結
会計年度
2024年3月31日
当連結
会計年度
2025年3月31日
[資産の部]
流動資産 496,353 521,160
固定資産 685,428 746,268
有形固定資産 454,753 474,354
無形固定資産 41,215 82,574
投資その他の資産 189,458 189,339
資産合計 1,181,782 1,267,428
[負債の部]
流動負債 345,905 354,639
固定負債 243,896 312,437
負債合計 589,801 667,077
[純資産の部]
株主資本 569,333 560,354
その他の包括利益累計額 16,422 28,905
非支配株主持分 6,225 11,091
純資産合計 591,980 600,350
負債純資産合計 1,181,782 1,267,428
  1. 資産合計は 、株式会社ナカノ商会の株式を取得したことに伴い顧客関連資産、のれんおよび有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加し1兆2,674億28百万円となりました。

  2. 負債合計は、借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加し6,670億77百万円となりました。

  3. 純資産は、剰余金の配当を実施したことに加え、自己株式を取得したことなどはあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が379億37百万円となったことおよび退職給付会計における割引率の見直しなどにより退職給付に係る調整額が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加し6,003億50百万円となりました。

  • 純資産/自己資本比率
  • 1株当たり当期純利益
  • 1株当たり配当金
連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)
前連結
会計年度
2023年4月1日~
2024年3月31日
当連結
会計年度
2024年4月1日〜
2025年3月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー 64,333 47,732
投資活動によるキャッシュ・フロー 22,435 44,356
財務活動によるキャッシュ・フロー 30,777 9,421
現金及び現金同等物に係る換算差額 356 100
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) 11,476 12,896
現金及び現金同等物の期首残高 183,225 194,702
連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少) 458
現⾦及び現⾦同等物の期末残高 194,702 208,057
  1. 営業活動によるキャッシュ・フローは、未払費用と払消費税等の増減額が減少したこと、および売上債権の増減額が増加した一方で、法人税等の支払額が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ収入が166億1百万円減少し477億32百万円の収入となりました。

  2. 投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出があった一方で、 投資有価証券の売却による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ支出が219億21百万円増加し443億56百万円の支出となりました。

  3. 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入が増加したことおよび自己株式の取得による支出が減少した一方で、社債の発行による収入が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ収支が401億99百万円増加し94億21百万円の収入となりました。

  • キャッシュ・フロー
  • 自己株式の取得について
    (2025年5月末時点)
    当社は、資本効率の向上を図るため、2024年11月から2025年9月の期間で自己株式を約500億円、3,900万株取得する予定です。
    なお、2025年3月末までに310億85百万円、1,677万株取得しました。

バックナンバー